小学校の校舎に書かれた「ミッション・ビジョン・バリュー」

 私は日本の校長として、開校時、鍵の授与式に参加しました。

 マニラから飛行機が1日一便しか飛ばないような僻地で、空港に着いてからもさらに車で1時間以上走る場所にありました。

 森の奥の奥、という感じの村だったのですが、村に着いてみたら、なんと村の入り口から学校までの道のりを、村人総出で日本の国旗をパタパタと振りながら歓迎してくれたのです。まるで一国の首相のような気分になりました。

 そして、村一番のごちそうである豚の丸焼きを出しておもてなしもしてくれ、生徒たちが歓迎の踊りも見せてくれました。あんな経験は二度とないだろうな、と思うほど熱烈な歓迎をしてくれました。今もときどき、そのときに撮影をしたビデオを観るのですが、観るたびに感動がよみがえり、本当に良い経験をさせてもらいました。

 ちなみに、フィリピンの小学校でもっとも驚いたことは、校舎に、「ミッション・ビジョン・バリュー」が書いてあったことでした。

 開校式のあいさつで、現地の校長先生が、「日本の会社員がすてきな校舎をプレゼントしてくれました。でも、これで満足してしまってはダメです。ここからがスタートです。私たちは、ここで何を学び、何を成し得るのかが大切なのです」という主旨のことを生徒たちに熱く語り掛けていたのです。

 学びの場を提供したつもりが、むしろ大きな刺激をいただきました。

 週末の取り組みで、私は、仲間と知恵を出し合い「バーの営業」や「小学校の校舎の寄付」を行いました。今ほど便利なWebサービスも充実していなかった時代だったので、手を動かし、足を運びながら、なんとかやりくりをしました。

 でも、今は、もっと気軽に新しい一歩を踏み出すのに便利なクラウドファンディングなどの仕組みも充実しているので、もっともっと踏み出しやすいのではないかと思います。

 読者のみなさんには、そういったサービスを利用しながら、自分の好きな一歩を、自分の好きなタイミングで、踏み出してほしいと思います。

【四歩目】 新しい一歩は、いつでも自分のそばにある

守屋 実(もりや・みのる)
1969年生まれ。明治学院大学卒。1992年にミスミ(現ミスミグループ本社)に入社後、新市場開発室で新規事業の開発に従事。メディカル、フード、オフィスの3分野への参入を提案後、自らは、メディカル事業の立上げに従事。2002年に新規事業の専門会社、エムアウトをミスミ創業オーナーの田口弘氏とともに創業、複数の事業の立上げおよび売却を実施。2010年に守屋実事務所を設立。設立前および設立間もないベンチャーを主な対象に、新規事業創出の専門家として活動。自ら投資を実行、役員に就任、事業責任を負うスタイルを基本とする。2018年4月に介護業界に特化したマッチングプラットホームのブティックスを、5月に印刷・物流・広告のシェアリングプラットホームのラクスルを2社連続で上場に導く。