4月に立教大学総長に就任した郭洋春(カク・ヤンチュン)は、会食で訪れた店のウエーターが放った一言にショックを受けた。
給仕する若者に「学生さんですか?」と尋ねると、「学生です。明治です」と返ってきた。会食相手が「この方はね、君の大学のライバルの学校の人です」と会話に加わると、学生は間髪を入れずに「早稲田の方ですか」。その一言に郭も会食相手も固まった。
学生の親世代にとって、明治大学のライバルは、「早慶」(早稲田大学、慶應義塾大学)に続く私立大学2番手くくり「MARCH」(明治、青山学院大学、立教、中央大学、法政大学)の筆頭格、立教だった。
「今は立教ではなく早稲田をライバルに見ている。あの瞬間、よく分かった」と郭。その日の酒は少し荒れ、自校の改革を心に誓った。
明治と立教の両方に合格した受験生は今、明治を進学先に選ぶ割合が高い。
ただ、学部単位で見れば、勝るものもある。経営学部は明治の商学部と経営学部に、異文化コミュニケーション学部は明治の国際日本学部に、社会学部は明治の情報コミュニケーション学部に対して、明治とダブル合格した場合の進学先で立教は勝ち越している。
伝統の社会学部と共に、新看板学部である経営学部、異文化コミュニケーション学部が奮闘。2008年に開設した異文化コミュニケーション学部は、各大学が過去十余年にこぞって新看板に掲げてきた「国際系」学部の中で、難易度がかなりの上位に位置する。