スポーツライブ放送にGAFAが本格参入

 近年までスポーツのライブ放映権に巨額投資を続けてきたのは、衛星放送やケーブル放送などの有料テレビ放送局(PayTV)であろう。90年代初頭の衛星放送技術の革新をきっかけに、ルパート・マードック氏率いるBスカイB社が、当時新たに創設した英PLに巨額の放映権投資を開始。コンテンツを独占保有し、それにより多くの有料加入者を獲得するというビジネスモデルを確立させた。その後、英PLは国内のみならず、全世界200を超える国・地域の放送局への権利販売を加速させ、有料放送と連動して大幅な収益向上に成功した。スポーツコンテンツオーナー(リーグや協会など)にとって、この放映権料は最大の収益源となってきた。

 ところが近年、インターネット技術の発達、若年層のテレビ離れ、デジタルシフトといったさまざまな要因から有料テレビ放送局のビジネスは苦境に立たされている。インターネット経由で動画サービスを提供するOTT(Overthetop)のプレーヤーも続々登場し、その流れは加速している。スポーツ特化型のOTTとして世界のスポーツ放映権市場を席巻しているのが、Jリーグも2017シーズンから国内放映権契約を結んでいるDAZNだ。インターネットを介して、テレビだけではなくスマホなどのデバイスでスポーツを視聴するスタイルは、日本だけでなく海外においても一般化してきている。

 OTTの登場に加え、スポーツ放映権市場において新たなパラダイムシフトが起きつつある。GAFAに代表されるプラットフォーマーの参入である。

英PLとFacebook、東南アジアでの放映権契約が土壇場で破談

 近年世界戦略に積極的である西ラ・リーガは、2部リーグの試合をYouTubeで全世界無料配信を開始している。また、インドにおいてはFacebookとパートナーシップを組み、1部リーグの試合を無料で配信している。先述の通り、英PLは英国内の放映権の一部をAmazonに販売。英国内のAmazonプライム会員は追加料金なしで年間20試合を視聴することができる。また、AmazonはNFLの一部放映権も獲得し、全世界のプライム会員向けに既に配信を実施している。

 プラットフォーマーは、自らのエコシステムに顧客を呼び込むための付加価値としてスポーツ放映を用意する。プラットフォーマーの参入は、スポーツ放映権料のさらなる高騰を助けるのであろうか。個人的には、以下2つの理由から懐疑的である。

 まず、プラットフォーマーが自社経済圏への新規ユーザー獲得を目的としているなら、スポーツ放映権への投資対効果(ROI)はシビアに判断するであろう。例えば、100億円かけてスポーツの放映権を買う場合と、100億円かけてユーザー獲得広告を展開する場合のどちらが新規ユーザーを呼び込めるのかという観点で冷静に見極められるはずだ。