高校の始業時間を遅らせると生徒の成績が向上
米シアトルで実験
米ワシントン州シアトルで、高校の始業時間を7時50分から8時45分に遅らせる実験を行ったところ、生徒の睡眠時間が増え、成績も向上したことが明らかになった。実験は、米ワシントン大学教授のHoracio de la Iglesia氏らが実施したもので、詳細は「Science Advances」12月12日号に掲載された。
思春期の若者の多くは、1日当たりの睡眠時間が推奨される8~10時間を満たしていないのが現状だ。そこで、高校の始業時間を約1時間遅らせるという取り組みが、シアトルの高校18校で2016/2017年度に始まっている。その影響について調べるため、de la Iglesia氏らは、18校のうちルーズベルト高校とフランクリン高校の2校の2年生を対象に今回の研究を実施した。
研究ではまず、始業時間を変更する前の2016年の春に、2校の2年生計92人に2週間にわたり、日中の活動時間と活動パターンを測定する装置を手首に装着してもらった。次に、始業時間を変更してから約7ヵ月後に、計88人に同じ装置を装着してもらった。
その結果、始業時間を遅らせると、生徒の夜間の睡眠時間が中央値で34分延びただけでなく、平日と週末の起床時間の差が縮まったことが分かった。これは、平日の睡眠習慣が、思春期に必要とされる睡眠パターンに近づいたことを示しているという。
また、生徒の日中の眠気が減り、成績が平均で4.5%向上したことも明らかになった。ただし、始業時間を変更した後も、生徒の就寝時間が遅くなるようなことはなかった。