暑い季節に限らず、1年中いつ飲んでもおいしいビール。そこに、唐揚げ、モツ煮込み、お刺身なんておつまみがあれば最高でしょう。しかし、普段からそんな食生活をしていたら警戒すべきなのが「痛風」です。ひとたび痛風の発作が起きれば、足に激痛が走り、仕事どころか歩くことすらできなくなってしまいます。中年以降の男性に圧倒的に多く、患者は100万人、予備軍は1000万人に上るそう。では、痛風はどうすれば防ぐことができるのでしょうか? また、痛風を発症したときはどう対処すればいいのでしょうか? 横浜市立大学大学院医学研究科循環制御医学教授である石川義弘医師が解説します。
痛風の激痛は「お産」「尿路結石」並み
横浜市立大学大学院医学研究科 循環制御医学 主任教授
エール大学医学部留学を経て横浜市立大学医学部卒業。マサチューセッツ総合病院科研究員、コロンビア大学、ハーバード大学医学部助教授、ラトガース大学医学部教授・同付属病院指導医(循環器内科)等を経て現職。日本および米国医籍登録(ペンシルベニアおよびニュージャージー)。病気についての正しい知識をやさしい言葉で紹介する「Open Doctors」の監修医師も務めている。
痛風は、主に足の親指の付け根などの関節が腫れて、歩けなくなるほど痛くなる病気です。くるぶしや膝が痛くなることもあります。
個人差がありますが、痛い人は風が吹いただけで激しく痛みます。痛風の発作が起きた当日は痛くて動けなくなり、歩くにも松葉づえが必要になることがあります。痛み止めを飲んでもなかなか治まらず、夜は痛みで眠れなくなるケースも。働いている方であれば、仕事のパフォーマンスは著しく低下するはずです。
その痛さは「お産」に匹敵するといわれていますが、これは男性に説明してもなかなかわからないでしょう。男性にもわかりやすいようにもう一つ例えるならば、「尿路結石」に並ぶような痛さです。
痛風は西洋には昔からある病気で、17~18世紀頃のフランスには、悪魔が真っ赤に腫れあがった足をやりで刺す様子を描いた絵があったといいます。それぐらい痛風は痛いのです。
痛風が引き起こす、より恐ろしい病気もあります。その代表格が腎症です。尿酸が腎臓にたまってしまって腎不全を起こします。また、腎臓結石を引き起こすこともあります。