おしりの大切さ、知っていましたか?

人の体の中でおしりがいかに大切か。
おしりの働きを知れば知るほど、いったい誰がこんな仕組みを考えたの?とびっくりするくらい、どんなに素晴らしく、人体の中で重要な働きをしているかがわかってきて、圧倒される思いがします。そして死に際まで自分の足で立ち、歩いて生活していくには、絶対におしりをダメにしてはいけないと、強く実感しています。

みなさん、お腹が出ていることは気にするのですけれど、おしりは体の後ろにあってふだんあまり見ることがないので、意識している人は少ないのかもしれません。
でもおしりは、私たちが日常、動けていることの要なのです。

人類は、立ち上がって二足歩行をするようになり、両手を自由に使えるように進化してきました。
それを可能にしたのが、おしりの構造だといわれています。
おしりには、何層もの筋肉の層があって、上半身、下半身と全身につながっています。まず、背骨のいちばん下の方は、仙骨という骨となって、左右の骨盤につながっています。そしてその骨盤に脚の骨がつながっています。
いいですか? 簡単に言うと、上半身と脚をつないでいるのはおしりの部分なのです。おしりのおかげで、上半身全部の重さを支え、足を使って立ったり、歩きながらバランスを保ってるのです。私たちの体が、ちゃんと動けるようにしてくれているのは、おしりなのです。
骨盤と仙骨は、強靭な腱や筋肉が、骨と骨がバラバラにならないように強力につなぎ止め、支え、動かしています。腱や筋肉は、いろいろな向きに何層にも重なりあって、体が自由に動けるようにできているのです。
ですから、おしりの筋肉を育てると、おしりにつながる腹筋が育ち、おしりとお腹の力で腰がしっかり支えられ、腰につながる背中の筋肉にも力がつきます。
そうすると、姿勢がよくなり、深い呼吸をすることができ、内臓の動きも活発になります。ざっと説明しましたが、おしりというのは、尋常ではない、想像を絶するような場所なのです。
体って本当にすごいでしょう? 誰だってこんなことは考えつかない。やっぱり神様がこんなふうにおつくりになったのだなと私は思ってしまうのです。

高齢で歩けないうえに車の運転もできなくなり、みんな困り果てています!
菊池和子(きくち・かずこ)
1934年生まれ。日本女子体育短期大学卒業。体育教師を経て「きくち体操」を創始。川崎本部のほか、東京、神奈川などの教室、カルチャースクールなどで指導を行う。心と体、脳とのつながりに着目した“いのちの体操”は、性別・年齢を問わず多くの支持を得ており、全国で講演多数。著書に、『指の魔法 奇跡のきくち体操』(集英社インターナショナル)、『はじめての「きくち体操」』(講談社+α新書)、『あぶら身がすっきり取れるきくち体操』(KADOKAWA)、『寝たままできる! 体がよみがえる!! きくち体操』(宝島社)など多数。