オープネスが高い組織は「心理的安全性」が高い

 そもそもオープネスの低い組織は、ガバナンスの観点からも危険性が高くなります。というのも、オープネスが低い組織というのは「仮に噓の情報や不正があっても、それを第三者が確かめる方法が存在していない」からです。
 監査法人の働きが資本市場にとって重要なように、組織のガバナンスが働くためには、そもそも「情報がオープンであること」が前提条件となります。その意味で、オープネスが最低限の水準に達していることは「ガバナンス」の前提条件になるのです。ニュースになった不正会計事件を想像すれば、わかりやすいと思います。
 現に『OPENNESS  職場の「空気」が結果を決める』で紹介しているオープンワーク社のデータベースによると、社員のクチコミで「内向き」「官僚的で閉鎖的」などといった表現が出始めると、数年後に不正が発生する傾向があるといわれています。

 あるいは、組織のオープネスを高めることは「人々の才能」を活かす上でも最良の一手になりえます。
 グーグルが指摘したように、チームのパフォーマンスと創造性を向上させるためにも、組織にとって“心理的安全性”は大事です。心理的安全性とは、チームの中で自分の思ったことを自由に発言しても不利益を被らないと感じられる状態のことだ。そのような環境で働く人は、「自分をオープンにしても大丈夫」「仮に失敗しても無下に責められることはない」という確信をもつことができるのです。
 考えてみてほしいが、「自分をさらけ出してもいい」という場所に身を置くことで初めて、人は創造性を思う存分に、安心して発揮することができる。つまり、オープネスの高い組織は、人の創造性が発揮しやすいのです。

 参考までに、世界的に模範的だと認識されているグーグルのクチコミデータには、次のようなコメントが掲載されています。さらに詳しくは『OPENNESS  職場の「空気」が結果を決める』に譲りますが、これがオープネスの高い状態の典型例の1つと言えるでしょう。

・社員それぞれのバックグラウンドや個性、アイデアを尊重する文化が隅々まで行き届いていました
・採用基準を厳しくし、入社した社員を信じ性善説で物事を進める会社
・社員は皆優秀でいい人が多く、自由でとても働きやすい環境だと思います