つまり、都内で従業員常時2人体制を維持しようとすれば、粗利540万円の加盟店が新チャージ制度で得られる3万8000円を上回る負担が、既に発生しているということだ。しかもこの試算は、あくまで従業員を最低賃金で雇えることが前提だ。実際にはより高い時給で従業員を募集せざるを得ず、より多くの人件費を負担しているケースも珍しくないだろう。
加盟店側による人件費負担の軽減策の一つが、深夜に閉店する時短営業だ。ただSEJは24時間営業する店舗に対し、前出のようにチャージを2%減額するなど優遇してきた。この優遇措置があるがゆえに、オーナーが深夜に店頭に立つなど無理をして24時間営業を続けざるを得ない加盟店もある。
新チャージ制度でも、24時間営業する店舗の方がチャージの減額幅は大きい。粗利が月550万円未満の店舗に適用される20万円の減額は、時短営業の店では7万円。月550万円超の店の3万5000円減額は、時短営業の場合は1万5000円と非常に少なくなる。
本部は24時間営業店舗への優遇を手厚くすることで、従来通りのやり方を死守したいという思惑が感じられる。それでも、場合によっては時短営業がオーナーのメリットにつながる場合がある。
例えば上図のように午前0時~6時のみ閉店するといった時短営業をすれば、深夜に雇う従業員を0~1人に減らせるので、24時間を通じて2人雇っていた場合と比べ、オーナーが負担する人件費が大きく削減できる。閉店していない時間帯の売り上げや粗利が変わらないと仮定すれば、時短をするオーナーはチャージの減額幅が小さくても、上図のように利益を増やすことができることになる。
もちろん、深夜の閉店によって売上と粗利が大きく減少すれば、オーナーの最終的な利益も減少する。ただ実際には、住宅街や郊外に立地し、そもそも深夜にほとんど来客がないと訴える店舗もある。こうした店舗が深夜の従業員を減らせれば、コストを減らし、時短のメリットを享受できる可能性がある。