人件費の上昇は今後も続く
問われる利益配分のあり方

 SEJは今回のチャージ制度の変更で、本部負担は年間100億円程度増えるとしている。

 現在国内で24時間営業をしているSEJの店舗は、駅やオフィスビル内などの店舗を除き約2万店。本格的な時短営業を始めた加盟店がごくわずかであることを踏まえれば、月20万円のチャージ減額の対象となるのは約7000店、月3万5000円のチャージ減額は約1万3000店となる。従って、このチャージ減額で本部の収入は推定で223億6000万円減る。

 一方、月の粗利550万円未満の7000店を対象とした、24時間チャージ減額2%と特別減額1%は廃止されるので、その分本部の収入は増える。7000店の売り上げや粗利額の平均は開示されていないが、これらの店舗の日販が55万円、粗利率が3割と仮定すると、廃止される3%分のチャージ減額は1店舗あたり月14万8500円になる。従って、年間7000店分で124億7400万円の収入増となり、本部の実質的な負担は98億8600万円となる。直営店の存在を除外した粗い推定だが、概ね本部の見通しと一致する。

 親会社のセブン&アイ・ホールディングスの2020年2月期の通期予想では、連結営業利益は4200億円となる見通し。その過半に当たる2500億円を、SEJ単体で稼ぎ出す計画だ。

 人手不足が深刻化し、最低賃金が上昇し続けることを考えれば、今回の単体営業利益の25分の1の切り出す手当てで、加盟店の支援が十分になる保証はない。加盟店からチャージを吸い上げて利益を配分するというビジネスモデルそれ自体の持続可能性が問われ続けることになる。