ドミナント出店する時代は終わった
収益の見通しの立たない出店はしない

――SEJでは社員による商品の無断発注が問題になりました。ファミマでは今年3月から、本部社員の人事評価で、売り上げなどの定量評価の割合を7割から3割に減らし、加盟店側の評価を3割から7割へと増やしました。このような評価方法で売り上げの維持や伸長は可能ですか。

澤田貴司社長Photo by Y.W.

 売り上げを目標にしなくても、本部の収益が落ち込む心配は全くありません。それよりも、本部の社員が加盟店と共により地域に密着し、加盟店をサポートして、その要望を実現できることが重要です。一時的には本部の収益が落ちるかもしれませんが、再び上昇するでしょう。ファミマでの無断発注は、私が経営している中では発生していません。

――現状、約1万6500店というファミマの店舗規模は今後どうしますか。またSEJの既存店日販(1日当たりの売上高)が65~66万円で、ファミマは53~54万円と大きな差があります。どうやってこの差を縮めますか。

 先ほど申し上げた本部の構造改革に加え、加盟店に寄り添った施策と、地域への権限譲渡、そして地域“異常”密着に取り組めば、成果はじわじわと出てくるのではないかと見ています。新規出店はやりますが、東京や大阪、名古屋を中心とした都市圏で可能なエリアだけ、ということになるでしょう。ある一定の地域でドミナント(集中出店)して商品の配送効率を上げて、という時代は終わりました。収益の見通しの立たない出店はしません。あくまでも既存店の売り上げを伸ばしていくことを重視します。

さわだ・たかし/1981年4月伊藤忠商事入社。98年11月ファーストリテイリング取締役副社長。2003年2月キアコン設立、社長就任。05年10月リヴァンプ設立、社長(兼)CEO。16年3月、ユニー・ファミリーマートホールディングス(UFHD、現ファミリーマート)顧問。16年4月リヴァンプ会長。16年5月UFHD取締役専務執行役員社長付。16年9月旧ファミリーマート社長。17年5月UFHD取締役副社長執行役員事業統括本部CVS事業部長。18年3月UFHD取締役副社長CVS担当。19年5月UFHD社長。UFHDによる旧ファミリーマートの吸収合併により同年9月から現職。