「部屋をゴミ屋敷にしておく」「家賃を最低2ヵ月間滞納する」
マニュアルには自治体担当者の実名や特徴まで明記

 その日に暗記させられたマニュアルには「対応(1)」と「対応(2)」が存在する。「対応(1)」は、自治体の福祉事務所に行って生活保護申請を行なうまでの、先述したような具体的やり取りが書かれている。そして「対応(2)」は、各自治体担当者の実名や特徴などが詳細に記されていた。

役所の対応を先回りして「準備」
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[○○区の○○(50後女):子どもの話を出すといける 例 「結婚したばかりの子どもに迷惑かけるわけにはいかないんです」]
[○○区の○○(30前男):現在のカネの出処詳しく聞いてくる 例 実はヤミ金なんですけど、もうこれ以上はつまませないと言われて来ました]

 そして、暗記させられはしなかったが、一度だけ音読させられた数枚のマニュアルもついてきた。それぞれ「準備」「担当」「ご案内」と書いてある。

「準備」には、[・印鑑 ・預金通帳(家族全員分)、過去1年分、記帳済みのもの ・家賃賃貸契約書……]と生活保護の受給申請に必要となる準備書類が。「担当」には、各地区の担当者名と連絡先、報告書などやるべきことが書かれている。

詳細な指示が記された「ご案内」
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 さらに「ご案内」には、役所に向かう前に必ずすべきことが書かれていた。そこには、ハローワークに行き、求職実績をつくっておくことなどと同時に、たとえば、

[部屋をゴミ屋敷にしておく]
[金目の物がある場合、正直に申告し、こちらで預かることとする]
[家賃を最低2ヵ月間滞納する]

 といったことなどが記されていた。また、生活保護申請日の行動として

[当日はこちらで車を用意します(集合時間厳守のこと)]
[申請当日はこちらで用意した服に着替えてもらいます]
[マニュアルの文言通りではなく自分の言葉で話すこと]

 と具体的な指示が繰り返される。さらに確実に生活保護を受給させるためのダメ押しとして、

[ケースワーカーが生活状況調査に来るので、部屋の中に生ゴミを放置、異臭をただよわせておく]
[ケースワーカー訪問時は布団に横になって対応]
[(場合によっては)こちらの指定病院へ行ってもらい、診断書を取ってもらう]

 という申請後の行動までも言及されていた。