無駄な仕事を減らす

 現にこの金融機関は今、見事に両立しています。「業績を維持するためには、少々無理な働き方でも我慢しなければならない」「業績を維持するためには、残業が増えるのも仕方ない」という固定観念は捨てましょう。

「業績を維持しつつ、負担を減らす」働き方をこの金融機関が実現できたのは、「無駄な仕事」を徹底して減らしたからです。

「職場には4割の無駄がある」といわれます。

 無駄な報告、意味のない会議、必要以上の文書作成、非効率な働き方……。重要事項の実行を妨げる最大の原因は、日々、竜巻のように吹き荒れる無駄な日常業務にあります。これらの無駄をすべて省くことができれば、「これまでの6割の力」で「これまでどおりの業績」を維持することができます。

「誰も読んでいない資料」があった

 例をひとつ挙げましょう。

 この金融機関の営業サポートチームは、毎日夜遅くまで、営業マンが営業活動を円滑に進められるよう綿密な資料をつくっていました。

 チームリーダーは「削減できる無駄」がないかを探るため、メンバーに問いかけました。
「何のためにその資料をつくっているの?」

 メンバーは答えます。
「営業マンたちが効果的に営業できるようにするためです」

 チームリーダーはさらに問いかけます。
「本当に営業マンの役に立っているのかな?」

「立っている……と思います。たぶん」
「役に立っている確証がないのは不安だね。営業マンに直接、確認してみようよ」

 いざ確認してみると、結果は散々なものでした。