Pre/Post-IPOスタートアップのバリュエーション連動

朝倉:Pre-IPO、Post-IPOスタートアップが相互に及ぼす影響についても考えてみましょう。この点、2017年から2019年にかけて大型上場を果たしたスタートアップ、あるいは、時価総額1000億円程度にまで成長したスタートアップが順調に成長を維持できるかどうかが、2020年のPre-IPOスタートアップの資金調達にも影響を及ぼすのではないでしょうか。

村上:まさにそうだと思います。特に、レイターステージのスタートアップのバリュエーションは、先行上場企業のバリュエーションに影響されて決まることが多い。そのため、先行上場企業の株価が大きく下落した場合、Pre-IPOマーケットにも大きな余波が広がるのではないでしょうか。

朝倉:大型Post-IPOスタートアップが2020年にどのような成長を果たすのか。これが、2020年のPre-IPOスタートアップ投資を見通す上でキーファクターとなるということですね。

小林:Pre-IPOスタートアップの発展と、Post-IPOスタートアップの発展は極めて密接にリンクしています。そのため、この両者が健全に育っていかないと、日本のスタートアップ・エコシステム全体を強化していくことはできません。2020年は、この両者のバランスをより強く認識する1年になるのではないでしょうか。

村上:個人的には、Pre-IPOスタートアップ、Post-IPOスタートアップの間で、人材・資金の流通が活発になる気がしますね。

朝倉:ラウンドの大型化と並行して、バリュエーションも大きくなっているPre-IPOのスタートアップもありますが、2020年はこうしたバリュエーションが正当化できるのかどうか次第で、一定の選別も進むことでしょう。2019年中に、既に兆しは表れていました。

いずれにせよ、2019年のようなブル相場が続くのかどうかによって大きく変わってくるとは思いますが、2020年のスタートアップシーンにおけるトピックは、「ミドル・アーリーステージスタートアップのラウンド大型化」、「ディープテック系スタートアップのIPO」、「Pre/Post-IPOスタートアップのバリュエーション連動」あたりを注視することになりそうです。

*本記事はVoicyの放送を加筆修正し(ライター:代麻理子 編集:正田彩佳)、signifiant styleに1/3掲載した内容です。