「論理的に説明できる」に価値はあるのか?

山口:「真・善・美」と「サイエンス」「アート」の関係性を簡単にまとめた表があります。

【山口周】MBAの価値が急落し、世界のエリートは今「MFA」を求める

ビジネスを「サイエンス=理性」で解くと、「真」は正しいデータと事実に基づいて論理的な思考で把握することであり、「善」は法律や判例に照らし合わせて考えれば自ずと答えが出てきます。そして「美」は市場調査や他社事例などをベンチマークすることで何が人の心を打つのかが見えてくる。

僕の職歴に照らし合わせながら、それぞれの職業についてわかりやすく説明していきたいと思います。

【山口周】MBAの価値が急落し、世界のエリートは今「MFA」を求める

僕は20代の頃、広告代理店で働いていました。どのような仕事をしていたかというと、市場や他社事例などを調査して「今、世の中ではどんなものが流行っているのか」という現状を把握しつつ、「今後、これが受けそうだ」という予測をして、顧客に提案するということをしてきました。表でいうと「サイエンス」の「美」の部分ですね。

30代以降はずっと外資系のコンサルティング会社で、コンサルタントをしてきました。ここでの仕事は「サイエンス」の「真」の部分で、データと事実に基づいて、クライアントが儲かる方法を提案してきました。

つまり、「真」をサイエンスで解く職業がコンサルタントなどであり、「美」をサイエンスで解く職業が広告代理店などであり、「善」は法律や判例に詳しい弁護士などが担当する分野です。そういった職業の人たちが、顧客にアドバイスをして、「サイエンス」的なビジネスをしているわけです。

これらの職業は、世の中でいわれる高給取りです。高給取りがほぼサイエンス側に属しているとは、どういうことなのか? それは、これまでの世の中が「論理的に説明できることに、価値を置いている」ということなんです。