デジタルはアナログに比べて情報量が少ないのです。

 例えば今、目の前にある風景を写真に撮ったとしても、リアルと比較すると、そこに含まれる情報量は制限されます。そう考えると、デジタルツールを使って相手に想いを伝えるためには、ときにアナログ以上の努力が必要になります。

 同じツールを使っていても、相手に感じさせるものが違う人がいます。それは想いを形に表す創意工夫と努力の違いです。

 例えば、同じメッセージツールを使っていたとしても、連絡がマメな人もいれば、こちらから連絡してもなかなか反応がない人もいます。この傾向はツールが変わっても変わりません。手紙でも電話でもメールでも LINE でも、マメな人はマメですし、丁寧な人は丁寧です。

 逆もまた然り。そして楽に逃げた人はどんどん対応が雑になっていきます。ツールはあくまでもツール。それを使うのは人であることを忘れないようにしたいものです。

本質を見極める
「傾聴力」を鍛えよ

 さて、アナログ力を強化するために最も必要な力は「傾聴力」です。人は、自分の話を最後まで聴いてくれる人に対して、安心感や信頼感を抱きます。しかし、これをできていない人がとにかく多い。

 いま、SNS での炎上や、著名人に対する誹謗中傷などが問題視されていますが、この傾聴力のなさが一つの鍵となっている気がしてなりません。相手のこともよく知らないし知る気もなく、インターネット上の一部の発言や、誰かの伝聞を鵜呑みにして判断してしまう。そして相手を悪と決めつけ、バッシングしている人が大勢います。

 SNS とはいえ、相手に対する礼儀は必要です。インターネット上であろうが、礼儀に欠ける態度や不誠実な対応は、現実の自分自身への評価として跳ね返ってきます。まずは人の話にじっくり耳を傾ける意識を持ってほしいものです。

若い世代は
年長者の話を聴こう

 また、若い世代の方々には、積極的に年長者の話を聴く機会を持ってほしいと思います。これには理由が2つあります。

 まず、やはり年長者は長く生きてきたからこそ、たくさんの経験をしています。ときには大きな失敗もムダなこともあったでしょう。でもそれだけ経験しているからこそ、教えられることや伝えられることがたくさんあります。