大阪の拡張は顧客の要望から。
機械学習やAIへのニーズも
──AWSジャパン長崎忠雄社長インタビュー

──大阪を通常リージョンに拡張する狙いは。

長崎忠雄AWSジャパン社長Photo by H.O.

 顧客の要望です。従来は一つだった大阪エリアのデータセンターが三つに増え、耐障害性が格段に上がります。サービスの幅も広がり、従来は東京経由でサービスを提供していた関西の顧客の遅延が減ります。

 とりわけ喜んでいるのは金融業界の顧客。日本国内で数百キロメートル離れた場所にデータセンターを持つという指針に合致するようになります。

──2020年に注力する業界は。

 製造業は引き続き力を入れます。ものづくりの会社から、付加価値やサービスを提供する会社に生まれ変わろうとすると、発想の転換が必要です。そして、従来は自前でやろうとしていたデータ収集・分析に、コスト面も含め、クラウドなど良いものを使おうという流れになってきた。金融業界でも引き合いが多く、製薬業界でも創薬にクラウドを活用しようという動きがあります。

 また業種を問わず、機械学習やAI(人工知能)への注目度は高く、リアルタイムでデータ分析をしたいというニーズが高まっています。

──クラウド事業者で勝ち残るのは何社だと考えますか。

 数社でしょう。クラウドサービス事業は簡単ではなく、巨大な規模を運用することは極めて難しい。

 AWSの強みは、アマゾンが消費者向けビジネスから始まったことかもしれません。コストをいかに安く抑えるかが、企業のDNAとして根付いている。従来のIT業界では、いかにサービスを高く売るかが常識でした。約70回の値下げをはじめ、ITの常識を破壊してきたわれわれには可能性があると考えます。