プロダクトに「自分だけが信じている真実」があるかどうか

小林:はい。いくつかのプロダクトを作っていくうちに感じたのが、「自分だけが信じている何か」があることが非常に重要だということです。ピーター・ティールが言うところのシークレット・クエスチョンに当たるものです。

例えば、コンシューマープロダクトだったら、自分自身が様々なプロダクトを使ってみて感じる「どうして、これができないんだ!」という苛立ちや、「自分はこういうものがほしいのに!」という願望がキッカケになります。また、InstagramやFacebookなど多くのユーザーを抱えるプロダクトで、「自分だけが他の人と違う、変わった使い方をしている」ということもヒントになります。例えば、先に話した、僕がスナップチャットを使っていて、Chompを思いついたのも、これにあたります。このような体験を通じて、自分だけが信じている何かが見つかるのだと思います。

ここで注意したほうがいいことは、そのキッカケが見つかってすぐに、無闇に人に感想を聞かないことです。自分「だけ」が信じているものである以上、他の人には理解されづらく、否定されやすいんです。この段階の「何か」は、赤ん坊のように脆く、否定的な意見を強く言われると、簡単に壊れてしまいます。誰かと話したくなったら、ポジティブに、かつ、自分の考えを質問で整理してくれるような相手を探し、自分がその「何か」をもっと信じられるようにすることが必要です。

朝倉:既に様々なC向けプロダクトがあるシリコンバレーという地で、新たにC向けのプロダクトを仕掛けるのは難しいことのようにも感じるのですが、なぜそこに勝機があると感じたのですか?