「応募勧奨」「意思確認」「慰留」…
社員を4グループに分類したリストラ資料
どう面談を進めるべきかをマニュアル化した「コミュニケーション分類」という表には、こう記されている。
○グループI
面談方針 慰留
面談回数 2回~上限なし
ポイント
・慰留を行う
・基本的には、回数制限はない(但し、最低2回は実施)
○グループII II’
面談方針 意思確認
面案回数 2回~4回
ポイント
・会社方針や変化に対する理解と貢献意思・覚悟を確認(最大4回)
・制度応募意向の場合は、慎重な検討結果か確認し面談終了
・いずれの場合も最低2回は実施する
*意思確認層は、IとIIIの動向により調整することもある(応募勧奨への切り替え調整がある場合は。II’を中心に対応を検討する予定)
○グループ III
面談方針 応募勧奨
面談回数 2回~4回
ポイント
・社外転進を勧める
・合意が得られるまで、面談を実施する(原則4回まで)
・制度応募を希望する場合は、2回目で終了も可
リストラ資料は、グループIIIの社員を中心に“肩たたき”を行い、応募状況によってグループII’やグループIIの社員まで範囲を広げていく計画であることを雄弁に物語っている。しかし、このグループ分けを知るのは管理職の社員だけ。一般社員には“極秘”とされた。
実際の面談の様子を、前出とは別のファミマ社員が明かす。
「クビとははっきり言わないのですが、『察してね』という話し方で早期退職を勧められました。いろいろ質問しても、事務的にのらりくらりと答えるだけで、親身な面談という感じではありませんでした」
この社員が不審に思うのも無理はない。実際、リストラ資料には、「質問と応答例」という、管理職社員向けの面談時の回答マニュアルまで明示されている。例えば以下のようなやり取りが管理職の“模範解答”だ。
質問 なぜこのタイミングで(早期退職を)行うのか?
応答例 コンビニ業界を取り巻く環境は厳しい状況下、経営が悪化してからでは、成長に向けた選択肢も狭まるため、経営基盤にまだ余裕がある今こそ実施すべきと判断しました。社外に出られる方においても、今だからこそできる最大限の優遇条件を、今回の制度で提示していますので、ご理解をいただければと思います。
質問 このような状況になるまで一体何をしていたのか? 経営責任はどう果たすのか?
応答例 経営として、市場環境に合わせてさまざまな施策を実行してきました。しかしながら、同時に予測できない状況の変化もありました。今、経営の責任は、この厳しい市場環境を勝ち抜いていくために、この構造改革を完遂することであり、今後、社外に活躍の場を求められる方に対して最大限の支援をすること、と考えております。
このような詳細な“面接マニュアル”が、6ページに渡って明示されているのだ。そして、面談で社員が話した内容は、管理職社員がシステムに即時入力するよう義務づけられているという。
ところが、ファミマ社員の危機感は、経営陣の想像を超えていた。想定以上の社員が早期退職に関心を示したのだ。関係者によれば、先のシステムによる集計で、19年末時点で早期退職への応募意向を示した社員が1100人を超えたという。