複数の関係者によると、主幹事に内定したのは、野村、三菱UFJの他に、ゴールドマン・サックス証券とJPモルガン証券の合計4社。キオクシアは主幹事証券の提案を踏まえ、最短で10月の上場を目指す。主幹事はキオクシアの時価総額を4兆円以上と試算しており、今年最大のIPO(新規上場)案件となる可能性が高い。大型案件となるため、国内外で株式を売り出すグローバル・オファリングになる見通しだ。

 キオクシアが2月14日に発表した2020年3月期第3四半期(19年4〜12月期)決算は、売上高は7076億円を確保したものの、営業損益は1852億円の赤字、当期損益も1765億円の赤字となった。四半期ベースでは19年1〜3月期以降、営業損益の赤字が続いている状況だ。

 一方で、世界のデーターセンター投資の回復や、5G対応のスマートフォンの普及により、今後はメモリ需要の増加が見込まれているとし、キオクシアは需給の改善を受けた早期の黒字化は可能と判断している。

新型コロナなどマクロ要因が不確定要素
政投銀も3000億円出資済み

 半導体市況は回復に向かうとの見方が一般的だが、世界経済に影を落としているのが、新型コロナウイルスの影響だ。世界経済の下押し圧力となっており、グローバルな需要低迷につながるようなことがあれば、上場のスケジュールが遅れることもありえる。

 キオクシアは、17年に東芝がメモリ事業を分割して発足させた東芝メモリが母体。18年6月にベインキャピタルが主導する日米韓連合のコンソーシアムが約2兆円で買収した。ベインは2120億円、HOYAが270億円を出資し、東芝が3505億円を再出資している。昨年には日本政策投資銀行が3000億円を優先株で出資した。