今、日本では空前のサウナブームが起きています。
 芸能人や著名な経営者にも「サウナ好き」を公言する方が増え、また身近なビジネスパーソンで、精力的に仕事をこなすトップエリートと呼ばれる男女がこぞってサウナに通っています。なぜ、仕事ができる人は、サウナにハマるのでしょうか?
 サウナを初めて科学的エビデンスに基づいて解説した話題の書「医者が教えるサウナの教科書」(加藤容崇著)より、最新研究に基づいたサウナの脳と体に与える効果と、ビジネスのパフォーマンスを最大化する入り方を、抜粋して紹介していきます。

【サウナの科学】サウナ室を出る時間は「ドラえもん」の歌が目安になる!?Photo: Adobe Stock

「自分はいつも10分くらい」と、サウナ室を出るタイミングを時間で決めている人もいるかもしれません。しかし、体調やサウナ施設により、体の温まり方は異なるため、時間を目安にしていると結果にばらつきが生じてしまいます。そのため、体内の自律神経の状態をより客観的に把握できる脈を基準に判断するのが、最も安全かつ有効です。

 私は脈拍が平常時の2倍になったら、サウナ室を出るようにしています。平常時というのは、リラックスしている時のことです。2〜3分座った状態を維持した後、姿勢を正しくして、腕と心臓が同じ高さになるようにして平常時の脈を測りましょう。私の平常時の脈拍数は50〜60回程度。だから、120回/分になったらサウナ室を出るようにしています。ただし、人によって脈拍数は異なるため、平常時の脈拍数が100回程度の人もいます。それを2倍すると200回/分になってしまい心臓への負担が大きすぎるため、その場合は軽くジョギングをしたくらいの脈拍を目安にしてもかまいません。サウナに入ることは軽いエクササイズと同程度の負荷を心血管系に与えることになります。逆に言うと、軽いエクササイズと同程度の負荷にとどめておいたほうがよいということです。脈を測り慣れていない人からすると、数十秒も手首に指をあててカウントするのは面倒くさい、と感じるかもしれません。

「ドラえもん」の歌のリズムは1分に100拍

 そんな人におすすめなのは頭の中で歌を歌うこと。たとえば、「ドラえもん」の歌(「こんなこといいな、できたらいいな♪」という昔バージョン)。あのリズムの速さが実は1分に100回なのです。これは医師が心肺蘇生を習う時に目安として教わるもの。つまり、平常時の脈拍が50回/分の人なら、自分の脈を取りながら、「ドラえもん」の歌を歌ってみて、同じ速さになっていれば2倍、つまり100回/分になったということ。それより脈が遅ければ、まだ到達していないということです。