部下から相談を受けたら
客観的に判断

 部下からパワハラ被害の相談を受けることもあるでしょう。
 ハラスメントは客観的な証拠で認定します。部下から相談を受け、「本当のことを言っていそうだ」「すごく感情がこもっている」「泣き出したから間違いないだろう」などと判断してはいけません。

 こうしたときにも、やはり録音が有効です。私は「録音がない」と言う相談者には「録音してほしい」と頼みます。いまはスマホなどでも簡単に録音できます。

 私はポッドキャストで労働法に関する番組をやっています。ここに相談のメールが来ました。
「私は定年退職後、不動産管理会社で警備の仕事をしています。この会社は大手不動産会社の子会社です。この子会社の社員が、私たち警備スタッフやアルバイトの女性スタッフにパワハラ、セクハラを繰り返します。社員なのでみんな文句が言えませんが、精神的に参ってしまいそうです」と言うものでした。

 そこで私は「子会社の社員の発言を録音し、大手不動産会社の担当者に聞かせたら動きますよ」と言いました。その人は社員のパワハラ、セクハラ発言を録音し、巡回でやってきた不動産会社の担当者に聞かせました。すると無表情で「わかりました」と言いました。翌週からパワハラ、セクハラ発言は一切なくなりました。そのくらい録音には効果があります。