毎日、座りっぱなしのデスクワーク。昼はカロリーの高い外食をして、夜はお得意先との飲み会でつまみにビール……。30代~60代のサラリーマンで、このような生活を送っている方も多いのではないでしょうか? 実はこういった食生活が「動脈硬化」を早めているかもしれません。動脈硬化は、日本人の死亡原因第2位である心疾患を引き起こす恐ろしい現象です。そんな動脈硬化は、コレステロールとも深くかかわっているといいます。では、どのように動脈硬化を予防すればいいのでしょうか? そのメカニズムとともに、横浜市立大学大学院医学研究科循環制御医学教授の石川義弘医師に対処法をお伺いしました。
死につながる「動脈硬化」には自覚症状がない
日本人の死亡原因第2位は心疾患、つまり心筋梗塞や狭心症です。これらの病気の多くは動脈硬化が原因とされています。
動脈硬化という言葉は聞いたことがある方も多いと思いますが、怖さがあまり知られていません。あらためて説明すると、動脈硬化とは、血管の内側にコレステロールやプラークがたまって血管が狭く、硬くなり、詰まりやすくなる状態のことです。
心臓の血管が詰まれば心筋梗塞になり、頭の血管が詰まれば脳梗塞や脳出血になります。腎臓だったら腎不全、下肢だったら閉塞性動脈硬化症といった具合に、動脈硬化はあらゆる病気を引き起こす可能性があります。
これらの動脈硬化を原因とする病気は、直接死につながらなくても、歩行障害が残ったり、透析治療が必要になったりすることもあります。一度発症すると、仕事がままならないだけでなく、QOL(生活の質)も著しく低下してしまうおそれがあるのですよ。
動脈硬化が恐ろしいのは、自覚症状がほとんどないところです。ですから、気がついた時にはすでに手遅れなんてことにもなりかねません。