年をとればとるほど動脈硬化は進行する

石川義弘医師石川義弘医師
横浜市立大学大学院医学研究科 循環制御医学 主任教授。エール大学医学部留学を経て横浜市立大学医学部卒業。マサチューセッツ総合病院科研究員、コロンビア大学、ハーバード大学医学部助教授、ラトガース大学医学部教授・同付属病院指導医(循環器内科)等を経て現職。日本および米国医籍登録(ペンシルベニアおよびニュージャージー)。病気についての正しい知識をやさしい言葉で紹介する「Open Doctors」の監修医師も務めている。

 30代~60代のビジネスパーソンは、とくに動脈硬化になりやすいと言われています。仕事でのストレスや飲み会の多さなどから、どうしても生活習慣が乱れがちになってしまうためです。特に肥満体系の人やメタボリックシンドロームと診断された人は要注意。では、動脈硬化になる原因は一体何でしょうか?

 原因の1つは「脂質異常症」です。かつては「高脂血症」とも言われていました。これは、血液中の中性脂肪(トリグリセライド)や悪玉コレステロール(LDLコレステロール)値が基準より高い状態のことをいいます。

 最近ではテレビやCMでも「コレステロールの取りすぎに気をつけよう」「脂質、糖質を控えめに」といった文言を、よく目にするようになりました。コレステロールフリーの製品も増えています。

 日本人の食生活が欧米化してきているために、そのような注意喚起が増えているのです。ハンバーガーに代表されるアメリカ食は、圧倒的に高カロリーですし、コレステロールを多く含む食材やコレステロール値を上げやすいものが多いです。そんなものばかり食べていれば、コレステロール値が上がってしまうのも当然ですよね。

 コレステロール値が低い人でも、血栓ができて血管が詰まることもあります。ただ、コレステロール値が高い人のほうが、血管の内側に脂肪が蓄積して管の直径が狭まり、血管が詰まりやすいというわけなのです。

 ほかにも糖尿病や高血圧など、動脈硬化を促進させる原因はいくつかあります。基本的に、動脈硬化は「老化現象」なんです。年をとれば誰でも血管は衰えてくるものですが、コレステロール値が高ければ老化速度はどんどん速まってしまいます。