物件によっては億円単位で開業も
人員削減の動きもあり負の連鎖のリスク

 京都市内では、古くからある町家の資産価値が認められず、開発とともに取り壊されることが問題視され、一部で改装してカフェや店舗として再生する事例が注目されていた。

 やがて、2010年代前半のインバウンド需要の高まりを受けて京都の宿泊客が増加。いわゆる“日本らしさ”を求める観光客向けに、町家を改装したゲストハウスが次々とオープンした。中には中国系の投資家が町家を複数買い取り、ゲストハウスとして運営するケースもある。物件価格も高騰し、祇園など中心部近辺では、物件取得やリフォーム費用を合わせて億円単位を投じるケースがあるという。

 ただ、ここへきて需要に急ブレーキがかかってしまった。河野さんとは別のゲストハウス経営者も、「宿泊客が前年比で8~9割減となり、従業員を削減せざるを得ない」と打ち明ける。とりわけ借入金を元手に事業を営んできた事業主にとっては危機的な状況だ。

 新型コロナウイルスの影響は、インバウンド依存の事業主以外にも広がっている。資金繰りの悪化は小規模事業主の“即死”を招きかねない。コロナ感染拡大の先行きが見通せない中で、危険な状態はなお続く。