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中国での売り上げを伸ばし、存在感をにわかに高めている資生堂。躍進を後押しするのが中国EC大手、アリババグループとの提携だ。特集『個人情報ゴールドラッシュ』(全6回)の#1では、アリババのビッグデータを活用することで激変した資生堂の「商品開発」の作法を探った。(ダイヤモンド編集部特任アナリスト 高口康太)

アリババグループと提携
「1億元クラブ」入り達成

 資生堂の中国事業が好調だ。売上高は2016年の1205億円から19年には2162億円と、3年間で80%もの成長を記録した。資生堂全体の売上高に占める中国の比率も14.2%から19.1%へと伸びている(下図参照)。

 好調を後押しするのが、中国EC(電子商取引)の巨人、アリババグループとの提携だ。アリババが運営する有力ブランド限定のショッピングモール「Tモール」に旗艦店をオープンし、18年には中国最大のインターネットセールである「独身の日」(毎年11月11日)で「1億元クラブ」(セールの売り上げが1億元=約16億円を突破したブランドを指す)入りを果たした。

 19年3月にはアリババとの戦略提携を交わした。アリババの持つビッグデータと分析力を生かして、新商品を開発することが目的だ。その成果として、同年秋には中国市場専用のヘアケア、ボディーケアブランドの「アクエア」を展開している。

「中国は世代ごとにライフスタイルが異なる上に、地域間の差異も大きい」

 資生堂の藤原憲太郎・中国地域CEOは、19年11月10日、浙江省杭州市のアリババ本社キャンパスで開催された記者会見の席上、アクエア開発の裏側を打ち明けた。顧客ニーズの見極めは従来、店頭での顧客への聞き取りやカスタマーヒアリングなどの手法が取られていた。しかし、広大かつ多様な中国市場では正確な消費者像を捉えられないことが問題だったという。

 そこで注目したのがアリババのビッグデータ。資生堂とアリババが共同で膨大な個人データを基に消費者ニーズを分析した結果、中国人女性は頭髪を洗う回数が日本人より少なく、髪が脂っぽくなりやすいという悩みがあることを発見した。そこで、この問題にフォーカスした新製品を開発したという。

「中国は巨大ですが、デジタル化によって見えやすくなった」と藤原CEOは話す。