「法務局における自筆証書遺言書保管制度」の内容に関しては、いままでさまざまな有識者や法律家が憶測も含めて解説してきたが、今回ようやくその全貌が把握できるようになった。

 今回の民法(相続法)の抜本改革の理由について、法務省は「民法のうち相続法の分野については、昭和55年以来実質的に大きな見直しはされなかったが、その間にも社会の高齢化が更に進展し、今回の相続法の見直しは、このような社会経済情勢の変化に対応するものであり、遺言の利用を促進し相続をめぐる紛争を防止する等の観点から、自筆証書遺言の方式を緩和するなど多岐にわたる改正項目を盛り込んでいる」としている。

 民法(相続法)抜本改革は、4段階で見直しが行われているが、今回の「法務局における自筆証書遺言書保管制度」の施行は、第4段目の最終段階のものである。これまでの経緯は、遺言コラム「新たな元号のもとで、新しい遺言制度が始まります!」でも触れているので、そちらもご参考いただきたい。

具体的に、どんな内容なのか?
「いつから?」「いくら?」「どこで?」「有効性は?」

 今回は、読者が一番知りたいと思われる内容に限定して、速報的に「自筆証書遺言制度改革」の有効性をレポートしてみたい。

 制度概要を見渡した限りでは、申請は思っていたより簡単そうである。今回は「いつから?」「いくら?」「どこで?」、そして現時点における「自筆証書遺言制度改革」の有効性を見ていきたい。

 簡単にまとめると、次の通りだ。

(1)いつから?(開始スケジュールは?)

・令和2年7月10日(金)から、法務局において自筆証書遺言書を保管する制度が開始。
・同年7月1日(水)から予約を開始する予定。

(2)いくら?(自筆証書遺言書保管制度の手数料は?)

・遺言書の保管の申請は、1件につき3900円(対象:遺言者)。
・遺言書の閲覧の請求(モニター)は、1回につき1400円(対象:遺言者、関係相続人等)。
・遺言書の閲覧の請求(原本)は、1回につき1700円(対象:遺言者、関係相続人等)。
・遺言書情報証明書の交付請求は、1通につき1400円(対象:関係相続人等)。
・遺言書保管事実証明書の交付請求は、1通につき800円(対象:関係相続人等)。
・申請書等、撤回書等の閲覧の請求は、1回の申請書または1回の撤回書につき1700円(対象:遺言者、関係相続人等)。