呼吸器疾患や膠原(こうげん)病、皮膚疾患などの持病がある人の中には、免疫力を下げるステロイドや免疫抑制剤などのお薬を飲んでいる方もいます。ただし、強調しておきたいことは自己判断でお薬の服用を中止しないようにしてほしいということです。主治医の先生としっかり相談をお願いします。糖尿病の方も、血糖値のコントロールが悪いと免疫が低下し、細菌やウイルスに感染しやすくなる場合がありますので、注意が必要です。

「症状がない」=「持病がない」ではない

 症状がないからといって、「健康である」「持病がない」とは言い切れません。たとえば、「サイレントキラー」と呼ばれる高血圧は症状がない場合が多いといえます。糖尿病も初期はほとんど症状が現れません。しかし、高血圧も糖尿病も持病といえるでしょう。健康診断の結果などを見直してください。

 また、動脈硬化が進んでいても、それ自体では症状がないことも多々あります。しかし、心臓の筋肉に酸素や養分を送る血管である冠動脈で動脈硬化が起こると、場合によっては狭心症や心筋梗塞などの重い病気を引き起こします。

 新型コロナウイルスに感染した際に重症化する要因は、60歳以上の男性であることや、基礎疾患がある方ということ以外はまだはっきりとわかっていません。ただ、これらの心疾患がある方が新型コロナウイルスに感染した場合も重症化する可能性があります。また、感染を契機に発症することもあるかもしれません。

 動脈硬化の原因は、喫煙、高血圧、脂質異常症(高脂血症)、糖尿病、肥満、年齢などがいわれていますが、動脈硬化の進行を遅くするためにも、動脈硬化の危険因子をお持ちの場合には日頃からしっかり対策をしてください。

 薬を飲んでいなくても持病のある方は大勢います。定期的に病状を観察するために通院している人もいますし、健康診断だけでは評価できない病気もたくさんあります。「自分は通院していないし、症状がないからウイルスに感染しても大丈夫」と油断しないことです。