脳のバッテリーが上がるのがうつ病。アイドリングしているのが適応障害。

――ショッキングな出来事があったときに、無理は禁物なんですね。適応障害も似たような症状があると聞きますが、どのように違いを見分ければいいでしょうか。

精神科医Tomy うつ病って簡単に言うと、脳を使うのに必要な伝達物質が枯渇しちゃって、脳の機能が正常に働かなくなる病気なんですよ。だから、会社に行くと調子が悪くなるとか、嫌いな人と会うと気分が悪くなるとか、特定の出来事や状況がつらくなる適応障害とは異なります。

 うつ病になる人は逆に、四六時中ストレス抱えていて、それでも仕事を頑張っておかしくなっていく人が多いんです。特に「意識高い系」の真面目な人ほど危ないですね。脳ミソを使いすぎて、突然、動かなくなるので。

 車にたとえると、ガソリンが空っぽになったり、バッテリーが上がっている状態がうつ病。運転したくない時にアイドリングしているのが適応障害。うつ病はフリーズした脳を再起動させるために、抗うつ剤で足りない物質を補充します。でも、適応障害は必要な物質は足りてるから、抗うつ剤を飲んでも効かないわけです。

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――頑張り過ぎちゃう人と聞いて、今ぱっと頭に浮かんだのは大阪の吉村知事です。吉村知事のTwitterのフォロワーから「寝てください」「無理しないでください」とすごく心配されていたので。

精神科医Tomy 「政治家は使い捨てでいいんです」なんて言っちゃうあたりが、余計心配ですよね。吉村知事に限らず、「非常事態だから自分が何とかしなければ」と、使命感を持って人一倍働いている人もたくさんいると思います。

 でも追い込まれたときほど「カット」、「ノー」を伝えることが大事なんですよ。目の前のことで精一杯になって、周りが見えなくなってきたら危険信号です。

 そういうときは、一人で抱え込まないこと。辛い気持ちを聞いてくれる人が身近にいなければ、匿名でもいいからSNSに不安や悩みや困っていることを書き込むのもいいと思います。

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