ネットで人とつながって精神バランスを保てることもあるわ

――誰かに助けてほしいと思ったときは、SNSやネットの相談窓口に連絡するのもひとつの方法かと。

精神科医Tomy 今は、ネットでつながることで精神的な問題を解決できることも増えてきたと感じています。精神科の世界では、昔に比べると、「境界線パーソナリティ障害」の患者さんが明らかに減ってきているんですよ。それもネットの影響だろうと言われています。「境界線パーソナリティ障害」というのは、他人から見捨てられると思い込んだり、自信と劣等感が同居していたり、自己愛が強過ぎたりして、自分と相手の境界線がわからなくなってしまう病気です。

 患者さんには、リストカットして相手を試すような、かまってちゃんタイプの人が多いんですね。そういう人も、インスタグラムやツイッターをやってフォロワーがついて、人とゆるくつながると、かまってほしい欲求がある程度は満たされるようです。

 自分の都合でいつでも投稿できるのもいいですよね。夜中に「寂しい」とつぶやいて「いいね」がつけば、誰かが自分のことを気にしてくれてる、認めてもらえていると思えるわけですから。リアルで対面して面倒くさいことになることもありませんし、精神的な居場所もできるので、うまく活用するといいと思います。

もしかしてうつ病? 最悪の状況で心が危うくなったときの3つの対処法

――Tomy先生の本『1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』にも、「寂しいときは、寂しくないフリをするより、『寂しい』って口に出したほうがいいのよ。」とありますね。私もどちらかというとマイナス感情は自己解決してしまうほうなので、無理して頑張り過ぎないで、辛い時は辛いって口に出してもいいんだって思いました。

精神科医Tomy そうそう。直接、誰かに会って言えないときは、SNSやブログに書き込めばいいんです。コロナで非常事態になったような時に、ネットがなかったら大変ですよ。町内放送でずっと「緊急事態宣言のため外出しないでください」っていうアナウンスが流れてきて、救急車のサイレンが鳴り止まなくて、でも電話しか人とつながれないなんて、想像しただけでゾッとするでしょ? それで、何ヵ月も家に引きこもっていたら、誰だっておかしくなっちゃいますよ。

 だから、最悪な状況でメンタルが落ちたときは、いったんブレーキをかけて、「カット」、「ノー」を言い続けてまず休むこと。そして、ネットを利用して、言いたいことを吐き出したり、人とゆるくつながったり、SNSやネットの相談窓口をを利用すること。それでも「これはヤバいかも」と思ったら、迷わず病院に行ってください。もしうつになっても、心の病気ではなく脳の病気だと思って、ちゃんと薬を飲むことが大事です。この3つを必ず覚えておいて、どんなに最悪なことがあっても、生き延びてほしいですね。

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