『グラフのウソを見破る技術 マイアミ大学ビジュアル・ジャーナリズム講座』は、米国マイアミ大学で人気のビジュアル・ジャーナリズム講座をベースに書籍化された現代人のためのグラフ・リテラシーの入門書です。コロナ禍のニュース等を通じて、さまざまなスタイルのグラフを目にした人も多いはず。政治、気候変動、健康問題から映画の興行収入、ハリケーン進路の予想図…誰でも知っているさまざまなテーマの最新のデータを使って、ニュースをからめながらさまざまなグラフを読み解くための基礎知識を身に着けていきます。驚くことに、その多くにグラフの読み手を誤解させる仕掛けが潜んでいることに気づかされます。グーグルやEUで教えるインフォグラフィックスの世界的エキスパートがグラフ・リテラシーのノウハウを初公開! そのエッセンスをコンパクトに紹介します。

ネットでは、良いグラフも怪しいグラフも簡単に見つかる

インターネットとソーシャルメディアは情報を生み出し、発見し、拡散する強力な道具だ。私のソーシャルメディアは、ジャーナリストや統計学者、科学者、グラフデザイナー、政治家が、書いたりまとめたりしたコメントであふれている。友達の投稿もあれば、知らない人のもある。私たちはみな、見出しや写真、動画の洪水にさらされている。

私はソーシャルメディアが大好きだ。今まで知らなかった何人ものデザイナーのグラフを発見し、ほかでは出会えなかったであろう、多くの執筆者の文章を読むきっかけになった。ソーシャルメディアのおかげで、良いグラフや怪しいグラフの情報源をいくつもフォローできている。たとえば、米国の議員による奇妙な画像を集めているツイッターのアカウント、@FloorChartsがある。ここでは次のようなものも見つかる。

写真は、ワイオミング州選出のジョン・バラッソ上院議員。彼が示している、写真のグラフを見てほしい。パーセントの変化とパーセント・ポイントの変化を混同している。39%から89%への上昇は、50%ではなく50パーセント・ポイントだし、128%の上昇だ

ソーシャルメディアには闇の側面もある。ソーシャルメディアの活力は何と言ってもシェアだ。目に入ったものを何でも、あまり注意を払わずに素早くシェアする。だから私も、ヘヴィメタルの地図を不注意に拡散してしまった。私の好みや固定観念に響く地図だったので、最初はきちんと考えずにシェアした。あとで罪悪感から投稿を消し、出典を検証してからシェアしなおした。

私たち全員がシェア衝動をもう少し頻繁に抑え始めたら、世界はずっと良い場所になるだろう。昔はジャーナリストや新聞、雑誌、テレビ局のオーナーなど、情報発信プラットフォームにアクセスできるプロだけが、市民が受け取る情報をコントロールしていた。

今は誰もが情報のキュレーター(収集し、公開する人)だが、それにはおのずと一定の責任が伴う。一つには、私たちが読み、拡散しようとするコンテンツが正当なものであることを、できる限り確かめることだ。そのコンテンツが自分の強い信念や思い込みを裏付けるように見える内容なら、なおさらだ。

時には、人の生命がかかるかもしれないのだから