FHを未治療のまま放置すると、LDL-C値が上昇し、その値は成人で190mg/dL以上、小児では160mg/dL以上になる可能性がある。こうした状態は、心疾患の早期発症をもたらしかねない。また、FHがある小児では、FHが遺伝しなかったきょうだいと比べて、10歳を迎えるまでに大動脈に病変を有する頻度や頸動脈の肥厚が生じる頻度が高い。さらに、FHがある青少年の約4人中1人にプラークが認められる。
FHに関する世界規模のレジストリである、欧州アテローム性動脈硬化症学会(EAS)のFH共同研究のコーディネーターも務めているVallejo-Vaz氏は、FHを「公衆衛生上の問題」とみなし、特に若年層においてFHが心血管疾患を引き起こす要因となり得ることを、医師たちは認識しておくべきだと呼び掛けている。
Champagne氏は「心筋梗塞を起こした患者には、もっと遺伝子検査を行うことを検討すると良いかもしれない。ただ、自分自身あるいは自分の子どもに遺伝性疾患の可能性があると考えることに抵抗がある人は多い」と指摘する。
Champagne氏は、FHに関する世界規模の研究は、米国内のFHの状況をより詳細に理解することにもつながるのではないかと期待を寄せている。「米国は、FHの発見と治療で大きな課題を抱えている。しかし、この状況が改善されれば、多大な恩恵が得られる可能性がある」と話している。(American Heart Association News 2020年5月29日)
American Heart Association News covers heart and brain health. Not all views expressed in this story reflect the official position of the American Heart Association. Copyright is owned or held by the American Heart Association, Inc., and all rights are reserved. If you have questions or comments about this story, please email editor@heart.org.