新型コロナの危機下でけん玉、かるた、こんまり…
不幸な少女時代が生み出す、すぐにバレる嘘

 また小池さんは、いわゆる“マスコミ受け”する言葉や施策を打ち出すことにかけても天才的です。3月以降、新型コロナウイルスでの対応で医療の現場が危機的な状況下にあっても、彼女が記者会見で紹介したのは、「コロナかるた」、けん玉、そして近藤麻理恵さんの片づけ動画でした。派手な柄のマスクを話題にしようとするなど、すぐに目くらましをする。

 早川さんに言わせれば、例えばカイロ大学卒業の件でも、小池氏には嘘をついているつもりはない。目の前の相手が振り向いてくれるよう、相手の喜ぶことを口にしてしまう性格だというのです。カイロ大“首席卒業”も、当時の日本人男性記者が喜んで記事にしてくれると考え話を作ってしまったのでしょう。今もマスコミに対して同じことをやっている。

 一方で、小池氏の嘘はすぐにバレるような甘いものが多い。カイロ滞在時をつづった著書『振り袖、ピラミッドを登る』でも、1年留年しているのに4年で卒業したと書いたことなど、調べればすぐに矛盾に気づくようなエピソードがたくさん出てきます。

 そういう意味では、彼女はカイロにいたころから今まで何も変わっていない。彼女自身の特異なキャラクターよりも、そんな彼女をここまで押し上げた社会の在り方こそ問題ではないかと思います。環境大臣時代に水俣病やアスベストが問題化していた時期であるのに、小池氏がぶち上げたのはクールビズでした。公害問題で地道な成果を上げることよりも、マスコミや社会はクールビズに飛びついてしまったわけです。これは私たち社会の責任でもあります。

 都庁で行われる小池氏の記者会見を動画でよく見ますが、彼女のくだらない冗談に、前の方に座っている民放キー局の女性記者たちが、大げさに受けたり、うんうん、うんうんと必死でうなずいて見せている。私は密かに「うなずき娘」と呼んでいるのですが(笑)、記者たちが権力者に迎合しすぎています。

 小池氏に気に入られたいという気持ちはわからなくはありません。でも、若くても大手メディアの記者には、特権的な立場が与えられているのですから、自らの役割を自覚して、もっと毅然としていてほしいです。そもそも環境大臣時代の彼女の振る舞いをメディアが詰め切れていれば、今ごろ東京都知事にはなっていなかったかもしれません。