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連載開始から前回までの間、20回にわたって文化の違いや仕事に対する姿勢の違いなど、ローカル・モードからグローバル・モードに切り替える際のポイントとなる、大前提の部分について紹介してきた。いよいよ今回から、会議などで具体的に物事を進めていくうえでのステップを紹介する。
米国の大学やハーバード・ビジネス・スクールで学び、総合商社で丁々発止のビジネスを行ってきた経験を踏まえて、現在、日本人の英語力向上とグローバル・リーダーの育成に携わる著者が、最新作『グローバル・モード』から抜粋してそのコツを紹介する。

現状を把握する方法は、面談の種類によって異なる

 前回までは、文化の違いや仕事に対する姿勢の違いなど、ローカル・モードからグローバル・モードに切り替える際のポイントとなる、大前提の部分について紹介した。いよいよ今回から、会議などで具体的に物事を進めていくうえでのステップを紹介する。

 会議を「いけてない現状」から「理想の姿」に近づけていくためには、下の図のように3つのステップがある(なお、本連載では、「STEP1 現状把握:後の意思決定や交渉に備え、なるべく情報を引き出し、問題を明らかにする」までを公開予定)。

 会議の目的は、「いけてない現状」を何とか「理想の姿」に近づけることです。そこで大切なのは、まず最初に「いけてない現状」を徹底的に知り尽くし、問題を丸裸にして、誰の目にもわかるようにすることです。その意味では、「現状把握」は3つのステップのなかで最も重要と言えます。

 STEP1で押さえたい技術は、「問題を掘り下げるスキル」と「論理的に発言していくスキル」です。

 問題を掘り下げるスキルは、問題やその原因を定義するための有用な質問の技術と、相手が気持ちよく吐露するためのヒアリング力から成り立ちます。

 論理的に発言するスキルは、グローバル・モードで重要な多様な人々をリスペクトする話し方や、意見・事実・通説を切り分けて話す方法、意見をわかりやすく伝達するためのピラミッド構造を用いた話し方から成り立ちます。

 また、実際にどのように現状把握をしていくかは、面談の種類によって多少異なります。3つの典型別に、会話例を交えて紹介します。

 セールス:相手に刺さる提案をするため、または、少しでも交渉に有利な情報を得るために、相手の問題を深くヒアリング力が重視されます。その際に有効な質問例とともに見ていきましょう。

 問題解決/改善:どのような問題があるか、その深刻さはどれぐらいかなどを正確に把握するだけでなく、問題の原因まで確認していく技術が重要です。質問例に加えて、有効な図解化のツールも紹介します。

 新規事業/変革:自分たちが行なうことがまだ不確かなため、まずはすべての起点となる「自分たちが解決しようとしている社会の問題」を議論するスキルが問われます。

 3つの例を見ていく前に、すべてに共通する心構えを先にご紹介します。それは「相手から先に、なるべく多くの情報を引き出す」ことです。

 初対面のときはもちろんのこと、何度か会ったことがある間柄でも、お互いの近況をアップデートしておくことが第一歩です。その際は、先に相手側から話してくれるよう促したいものです。その理由は2つあります。

 第一に、グローバルの会議ではサプライズは付き物だからです。とくに海外の企業では、日本の常識では考えられない速さで変化が起きることがあるからです。その理由としては、権限委譲が進んでいるため現場ですぐ物事が動く、試行錯誤を繰り返して柔軟に物事を進める性質がある、転職が日常的で担当者が変わること多いなど、いろいろあるでしょうが、いずれにしても何か大きな変化はないか、先に聞いておいた方が確実です。それによって、こちらの出方も変わるかもしれないからです。

 第二に、利己的な理由ですが、ずばり、後で話した方が有利だからです。こちらが売り手の場合、相手の状況を細部まで聞き取った方が刺さる提案ができます。自分が買い手や提案を受ける立場でも、相手の近況や実績を話してもらった方が値踏みしやすい、という面もあります。

 相手が「Is it OK to update you about our side first?」(→こちら側からアップデートしようか?)と言ってくれたときは、「Yes, please. We’d love to hear.」(→ええ、是非聞きたいです)と関心の高さを示し、申し出をありがたく受けましょう。