新型コロナウイルス、米中関係の悪化、香港の自治への介入……こんな時代だからこそ、国内や足元だけでなく、広く世界の情勢に目を配ることが、長期的な展望にもつながる。人気連載「組織の病気」の秋山進氏がペルー駐箚(ちゅうさつ)特命全権大使(前上海総領事・前外務省研修所長)の片山和之氏と対談。前後編に分けてお送りする後編では、多国間交渉の苦労や成功の秘訣、ビジネスパーソンにも有益な交渉術から、米中関係、日中関係、日米関係など外交問題まで話題は広がった。(取材・構成/ライター 奥田由意)
秋山 前編で、ベルサイユ条約のときには、日本人の語学力が不足していたこともあり、本質的な意味でまったく会議に参加できず、「サイレント・パートナー」と呼ばれてしまった屈辱の過去があるとお話しいただきました。
ビジネスの場面を見てみると昨今、海外企業との提携や協業がますます増えています。過去、日本企業は、海外案件では相当たくさんの失敗をしました。そして、現在はかなり場慣れもし、習熟もしてきましたが、それでも複数の企業や国家が絡んでくると厳しい状況に追い込まれがちです。片山大使は、国際交渉の難しさや成功の秘訣についてどうお考えですか。