「都心戸建て」のV字回復

 そんな中、すでにV字回復した会社もある。都心の戸建てを中心とした不動産会社である、オープンハウスだ。戸建ての仲介契約件数は、4月は前年同月比(以下、同じ)39.1%減と苦戦したものの、5月には43.0%増、6月には52.3%増と大幅に伸長し、4~6月累計では対前年比18.2%に回復している。

 リクルート住まいカンパニーの「コロナ禍を受けた「『住宅購入・建築検討者』」調査」によると、コロナの住まい探しへの影響について、42%は「影響なし」、36%は「検討が抑制された」、22%は「検討が促進された」と答えている。

 検討物件種別では、新築マンション検討者に「抑制」が多く、注文/新築戸建て検討者には「促進」が多い。分譲マンションでは、エントランスやエレベーターなど不特定多数との感染リスクが一定程度想定しうる。戸建てであれば、家族だけの生活空間であり、これがオープンハウスの巻き返した要因のひとつと思われる。

郊外に行くほど安い
テレワークは郊外回帰の追い風に?

 都心の戸建てに住めればいいが、売買でも賃貸でも都心の物件は「高い」。新宿区の賃料相場は坪単価1.4万円。ワンルームで10万円前後の家賃となる。横浜市なら、賃料相場は坪単価1万円。ワンルームなら7万円前後。藤沢市なら坪単価6000円。ワンルームで5万円前後といったところだろう。

 駅までの距離、築年数などの要素で変化はあるものの、通勤時間を延ばせば、家賃も下がるのが首都圏の実情だ。売買価格も収益還元法で考えれば、この家賃相場に連動する。貸したらいくらで利回りするのかと考えれば、都心では1億円程度の物件が、横浜なら7000万円、藤沢なら5000万円となる。

「テレワークにも慣れてきた」ので、「いっそ郊外に住み替えてもいいのでは?」と思い、「茅ヶ崎、寒川ならどうだ。思い切って小田原、箱根でも…」と不動産情報サイトで閲覧する人の気持ちもよくわかる。