日本の食事スタイルに
感心する中国人

 もっとも、食料が貴重で大事だからこそ「大切なお客さんにはお腹いっぱい食べてもらおう」という発想もあったのだろう。

 そもそも中国人は世界でも「食に対する欲求」が強いことで知られる。実際、中国には「民以食為天」(民は食を以て天と為す)という言葉があり、生活の中でとにかく食事を重視する傾向がある。

 例えば、どんな大事な打ち合わせの最中でも、食事の時間となったら、躊躇なく中断して「ここで、食事にしましょう」という話となる。

 親が入居する介護施設を選ぶときなども「食事の質」を最重視する傾向にある。

 周知の通り、盛り付けを含めた「食事の提供スタイル」も日本とは真逆である。中国の大皿で大量に注文する豪快な作法に対して、日本では少ない量の料理が小さいお皿の上に載せて運ばれてくる。

 一口か二口で食べ終わってしまい、お皿がきれいになる。食べ残すことは決してない。

 ただし、このようなスタイルに対して批判的かといえば、そうでもない。多くの中国人は海外の料理や食事のスタイルにも関心が高く、総じて「量が少なく、上品である」というのが、初めて来日した中国人が日本料理に持つ印象である。

 ある中国の民間企業の社長が「最初は、『日本はケチだね』と思ったが、数日間日本の食事を観察したら、日本の食文化は非常に合理的だと思うようになった。食べられる量で注文し、無駄がない。これこそ先進国の姿だ。われわれも、たくさんの料理を残す習慣を改めないといけないね」と話していたのが印象的だった。

 この発言には、中国人の意外な本音がこもっている。