世界中で通用する人材になる方法
そして、全世界の従業員に向けて、利益よりも、生産性よりも、何よりも従業員の安全を最優先にするというブリヂストンの姿勢を、改めて「CEOメッセージ」で明確に示しました。この姿勢を死守することこそが、従業員はもとより、工場が立地する国や地域からの大きな信頼を生み出す「原理原則」であると強く訴えたのです。
その結果、全世界のさまざまな事業所で、意識の高まり、活動の組織的うねりを実感しました。間接的効果として、立地する国や地域からのサポートが得られ、現地採用もしやすくなるのですから、事業を展開するうえで、これほどありがたいことはありませんでした。
このように、「原理原則」を厳守することは、たとえ短期的には損失を出すことになっても、長期的には必ず大きな果実をもたらしてくれるのです。
重要なのは、「原理原則」というものは、世界中で通用するということです。
「安全第一」、すなわち「命を大切にする」という「原理原則」だけではなく、「環境を大切にする」「ウソはつかない」「ルールを守る」「高い品質を守る」といった「原理原則」は、あまりにも「当たり前」のことであるがゆえに、世界中どこでも、どんなときでも、どんな人種でも通用する普遍的なものです。
実際、ブリヂストンが、世界中のグループ企業や事業に守らせる基本指針は、すべて「原理原則」に類するものだけです。それは、普遍性が高いために、誰もが「当たり前」のこととして受け入れ可能ですし、日本とはかけ離れた文化の国であったとしても法的に問題はありませんでした。そして、全世界の従業員が「原理原則」を共有することによって、グループの結束と健全な発展ができる基礎をつくることができたのです。
だから、参謀をめざす人には、ぜひとも、「原理原則」をとことん突きつめていただきたいと願っています。それは、ユニバーサルに通用する「仕事力」を手に入れることに等しいのです。