「自分の考えや打ち合わせ内容をその場で図解する。このテクニックがあれば、会議、ブレスト、プレゼンが劇的に変わる。考える力と伝える力が見違えるようにアップする」
こう語るのは、アートディレクター日高由美子氏。発売6日で大重版が決まった『なんでも図解』の著者です。「フレームワーク」や「キレイな絵」を一切排除し、瞬間的なアウトプット力の向上を徹底的に追求するワークショップ、「地獄のお絵描き道場」を10年以上続けています。複雑なことをシンプルに、難しい内容をわかりやすく。絵心ゼロの人であっても、「その場で」「なんでも」図解する力が身につくと評判になり、募集をかけてもすぐキャンセル待ちに。
本連載では「絵心ゼロの人であっても、伝わる図を瞬時に書くためのテクニック」をお伝えします。

アメリカ大統領選挙のしくみを「図」にすると?
図解は、情報を整理して書くので、「頭の中の整理」にも役立ちます。「アメリカ大統領選挙のしくみ」を図解してみましょう。
私自身、大統領選挙についての知識が少なく、アメリカ国民が一体となって「ウォーー!」と一斉に投票するイメージがあり、「なんであんなに時間がかかるのだろう」と不思議に思っていました。解説サイトを参考にしてまとめた次の文章を「図」にします。
4年に1度行われるアメリカの大統領選挙は、2段階に分かれています。まずは予備選挙。民主党と共和党の中から1人ずつ候補者を選びます。これは党員が選ぶ「党員選挙」です。そして本選挙。これは民主党と共和党の候補者が1対1で決戦するもので、各州の一般有権者の投票から選ばれた選挙人が投票して決めます。このように、アメリカ大統領選挙は一般有権者が各州に割り当てられた選挙人を選び、選挙人が大統領を選ぶ「間接選挙」といえます。
まず、タイトルと冒頭の内容を書きます。全てを文字にしないのがポイント。アメリカの簡単なアイコンや「4年」を囲み、パッと目に飛び込むようにすると、テーマが直感的に伝わります。次の画像を見てください。
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そして、予備選挙から本選挙への大きな流れを書きます。下に要素が入ることを予測して、見やすくなるように、(1)と(2)の間隔を広くとります。次の画像を見てください。
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次の文章を図解します。
向かって左のブロックです。民主党、共和党はテキストで書いて囲みます。人アイコンを使うと直感的にわかる図になります。「党員選挙」のワードも一般選挙ではないことをわかりやすくしたいので囲んで強調。次の画像を見てください。
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次の文章も図解します。
この内容は右のブロックに書きます。「選挙人」というワードはあまり耳慣れない言葉ですが、大切なポイント。後から強調するために、まわりに余白を多めにとります。次の画像を見てください。
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次に、2段階の構造がわかりやすくなるように、線で区切ります。要素が多めなので実線よりも点線のほうが「区切り」としてのわかりやすさが増します。次の画像を見てください。
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一通り書けたら、キーワードを「囲み」「ふき出し」を使って強調し、マーカーでメリハリをつけます。マーカーでの加筆も、やみくもに全てを塗りつぶさないように、「大統領候補以外は影をつけない」などの取捨選択をするのがポイント。他にも、「選挙人投票」のそばの「決めるのはコレ!」にアンダーラインを加え、1対1の勝敗を決めるポイントを強調するのもよいでしょう。次の画像を見てください。
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これで完成です。自分の苦手分野も、誰かに説明するシーンをイメージしながら図解してみると、すんなり頭に入ってきます。ぜひ、情報収集や学びの場でも活かしてみてください。