宮崎被告は最終意見陳述で「日本中の方々を恐怖の渦に巻き込んでしまった責任を痛感している」などと述べて結審した。

 初公判があったのは7月27日。宮崎被告は3つの起訴内容を「違っているところはありません」といずれも認めた。

 検察側は冒頭陳述で、いずれの事件も被害者から進路妨害されたと思い込んだ宮崎被告が立腹して犯行に及んだと主張。

 証拠調べでは、宮崎被告が被害者に殴り掛かるドライブレコーダーの映像が再生された。また、宮崎被告の「前方の車からわざと減速して道を譲らない嫌がらせを受けたと感じ、やり返そうという気持ちが強かった」などとする供述内容も読み上げられた。

 弁護側は攻撃性が高まる特徴がある「猜疑(さいぎ)性パーソナリティー障害」があるとの精神鑑定書を提出。

 被告人質問では、宮崎被告が動機について「(進路妨害されて被害者に)謝罪してもらいたいと思った。同じことをされたら嫌な気持ちになると分からせたかった」などと説明。

 一方、消え入るような小さな声で「されたと思ったことの何倍もやり返し過ぎた」「やり返すという考え自体が間違っていた」「極めて危険な行為。二度と繰り返さない」と謝罪や反省の言葉を口にしていた。

改正道交法施行日にあおり運転

 あおり運転を巡っては2017年6月、神奈川県の東名道で発生した夫婦死亡事故をきっかけに社会問題化した。

 これまで法的に明確な定義はなかったが、今年6月30日に「妨害運転」と規定し厳罰化した改正道交法が施行された。

 妨害運転は、他の車の通行を妨げる目的で逆送や急ブレーキ、車間距離の不保持、幅寄せや蛇行、高速道路上の低速走行や駐停車など10行為が対象。

 罰則は最高で5年以下の懲役または100万円以下の罰金と定められたが、あおり運転が根絶されることはなく、妨害運転での摘発は相次いでいる。