「一見それほどでもない症状でも、実は放っておくとこわい症状も少なくないのです。最初は気にもとめないわずかな症状が、放っておくと、取り返しがつかない大病になることもあります」。そう話すのは、テレビでも人気の総合内科専門医・秋津壽男氏だ。体からのSOSサインに気づかず、後悔することになってしまった方をこれまでたくさん見てきたという。秋津医師の新刊『放っておくとこわい症状大全~早期発見しないと後悔する病気のサインだけ集めました』は、まさにこうした病気で後悔する人を少しでも減らしたいという想いから生まれたものだ。9月16日に発売となった本書の内容を抜粋するかたちで、自分や家族の健康チェックに役立つ情報を紹介していく。

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肝臓が弱ると「手のひらの外側」だけ赤くなる

 肝臓の不調には、黄疸(おうだん)が出るまで悪化する前の、慢性の肝障害の段階で出るサインもあります。「手掌紅斑(しゅしょうこうはん)」という手のひらが赤くなる症状です。手のひら全体ではなく、親指や小指の付け根など、手のひらの外側だけが赤くなるのが特徴です。

 肝機能が低下すると、エストロゲンの代謝異常が起き、血液中のエストロゲンが増加します。すると、血管の収縮に異常が起き、毛細血管が赤く浮き出て、血管が透けて見えるようになるのです。女性の場合、妊娠でエストロゲンが増加し、手掌紅斑が起きることもあります。

 さらに症状が進むと、首やお腹の毛細血管がクモの巣のように赤く浮き出るクモ状血管腫が起こります。首に赤いあざのようなものがあらわれたり、おへそ周辺の血管が網目状に浮き上がってきたりしたら危険信号です。

 お腹の毛細血管が浮き出た状態を、医学用語では「メドゥーサの頭」といい、肝硬変や肝臓がんの兆候ととらえています。メドゥーサはギリシャ神話に出てくる、髪の毛が蛇になっている化け物です。毛細血管が浮き出て、メドゥーサの頭のように見えるのです。

 肝臓は悪くなるにしたがって、蓄積している脂肪があふれる脂肪肝、肝臓の細胞が硬くなる肝硬変、そして肝臓がんと進みます。がんの炎症から液体が分泌され、腹水がたまるようになると余命は長くありません。できる限り肝臓の声に耳を傾け、日々肝臓をいたわるようにしましょう。

(本原稿は、秋津壽男著『放っておくとこわい症状大全』からの抜粋です)