2.「いま起きていること」の
90%は内政問題である

 石原慎太郎・東京都知事によるワシントンでの意思表明が発端となり、国家がそこに窮する形で国有化の「手続き」が進められた。主権・安全保障に関わる問題において、国家の意思が地方の欲望に窮したという実情を、国際社会は注視している。

 先日、私が現在所属するハーバード大学の学部生たちと昨今の日中関係を巡って議論をしたが、彼らが日本政府のハンドリングに関して一番驚き、興味津々な様子で質問してきた内容は、「安全保障や外交に関する問題で、日本では首相よりも地方の首長のほうが権力を持つのか? なぜ野田首相は石原都知事を説得できないのか? 仮に石原都知事の発言がなければ、野田内閣はこのタイミングで国有化していたか?」であった。

 学部生だからこそ出てくる新鮮、且つ的を射た質問である。この背景にあるのは、日本の国政が、制度的にも、実質的にも疲弊し、地盤沈下しているという現実だ。野田政権は政局を処理するのに精一杯で、外交政策を地に足をつけ、大局観と戦略性を持って政策を考え、施行し、評価する余裕も時間もなくなっているということだ。

 今回の件で国際的信用力を失ったのは中国だけではない。日本だって失ったのだ。私が毎日、大学の図書館で閲覧しているニューヨークタイムズ、ワシントンポスト、ウォールストリートジャーナルを含め、アメリカの主要メディアは完全に「日中間に領土問題が存在する」ことを前提に報道しているし、有識者たちも「日本にはなぜいつもこういう不可解な出来事が起こるんだ」という冷めた視線を向けている。

 中国共産党は、民衆のナショナリズムを利用して、日本に圧力をかけたいと考えている。しかし、ハンドリングを一歩間違えれば、社会は無力化する。野田首相が石原都知事に窮したように、中国では、主権・安全保障に関わる問題において、国家の理性が民衆の感情に窮している。危険な兆候だ。

 今、日本の各報道や論壇では、次のような分析がなされている。