結婚マネジメント(1)
「結婚は創作行為である」
結婚が人生の分かれ道になるのは、結婚後にどういう精神状態でどういう生活を送るか、いわばチーム戦で人生のマネジメントをしていくことと関係しているからです。どういう生活を送りたいのか、そのために相手と協力してどう過ごしていくのかという、夫婦の力で「新しい日常生活」をつくり出していくことが求められるのです。
これは一つの「創作行為」だともいえます。互いに助け合い、補完し合えるパートナーでなければ「家庭の創造」はできませんし、家庭がつくれなければ、理想とする人生もまた送れないのです。
逆に、一人では乗り越えられなかった困難も、二人なら乗り越えられることがあります。結婚で人生にレバレッジをかけられた人とは、この人生最大の分岐点で、新しい「創作行為」に真剣に取り組んだ人たちなのです。
創作行為には家事、育児の分担のルールから、お互いのビジョンのすり合わせ、お金や時間の使い方まで多くの場面がありますが、例えば、わかりやすい例として以下のようなものがあります。
Dさん夫婦は、朝食に何を食べるかで揉めていました。旦那さんはごはん派、奥さんはパン派です。これは育った環境にも影響を受けており、議論は平行線をたどりました。どちらが健康に良いとか、一日のスタートはこっちのほうが活力が出るなど、いろいろな意見が出ましたが、結局は好みの問題です。ただ、二人とも「朝食はしっかり食べる」という共通点を持っていました。
そこで、Dさん夫婦は話し合って、平日はパンで、休日はごはんというルールを決めました。そして、平日でも旦那さんがつくれるなら、ごはんでも構わないという例外のルールもつくりました。
つまり、Dさん夫婦にはパンかごはんかという二択ではなく、どちらかの習慣や好みを押し付けるという解決策でもなく、お互いが納得できる新しいルールを「創造」したのです。
朝食をパンにするかごはんにするかのケンカで離婚する夫婦は少ないでしょうが、夫婦間の違いはこのように、新しいルールを「創造」することで乗り越える必要があります。
自分の習慣や考え方を相手に押し付けるのはよくないとわかっていても、すべて相手の習慣に合わせるわけにもいきませんので、夫婦間ではこうした「創作場面」がよくあります。
これこそ結婚生活のマネジメントです。まったく異なる環境に育った二人が、偶然出会い、愛し合って、お互いを選び、家庭をつくっていくのが結婚です。家庭はつくっていくものであって、自分のやり方を押し付けるのでもなく、相手に合わせることでもありません。
結婚前は異なる習慣だったとしても、結婚後は別な色が混じり合うように、自分たちの家族の色を彩っていこうとする意識が何より大切なのです。
夫婦間では日常生活の中で、さまざまな習慣による違いが目につきます。朝型か夜型か、風呂は長いかシャワー派か、目玉焼きにかけるのはソースかしょうゆか、母の日にプレゼントするのかしないのか、時間厳守かルーズか、休日は家でのんびり過ごすか外でアクティブに過ごすか、リゾートに行ったら遊ぶのかまったりするのかなど、何百もの習慣や好みによる違いがあるでしょう。
それをどちらかに押し付けたり、どちらが正しいかという基準で考えると、夫婦間はどんどんギスギスしていくので、その都度、新しい夫婦の習慣につくり変えていくというのが、成功者の弁です。