独自の戦略を考えるためのイノベーションモデルとは

 スタートアップが持続的競合優位性を保つには、戦略の明確さに加えて、なかなか他がまねできないような戦略の独自性を持つことも重要だ。

 明確な戦略を土台にして、EXIT(IPOやM&A)まで向かうストーリー構築が、スタートアップのバリュエーションを高める要因になる。投資家の立場からしたら、明確な戦略に基づくマイルストーン設定があると、モニターがしやすいだけでなく、支援(必要なタイミングで必要なリソースを提供する)もしやすくなるからだ。

イノベーションモデルの10パターン

 スタートアップの一番の強みは、ともすれば、既存のマーケットにフィット(Product current market fit)している大企業のイノベーションのジレンマを突けることだ。つまり、大企業は既存事業の改善や改良に囚われてしまうが(持続的イノベーション)、スタートアップはそこに革新的で新たな価値を生み(破壊的イノベーション)切り込んでいくことができるかがポイントになる。

 私は、投資の意思決定をするときに「御社は、どのようなイノベーションのジレンマを突いていますか?」と聞くようにしていた。スタートアップの使命として10~20%の改善ではなく10倍以上の改善を目指すことができるかが重要なポイントになる。

 拙著『起業の科学』で紹介したが、ビジネスのロードマップを作っていく際にどんなイノベーションモデルなのか、その型を知っておくことが重要になる。

 自社のモデルのどのあたりが革新的なのか、を起業家はきちんと言語化できる必要がある。私はイノベーションモデルを10の型にまとめた(下図表)。