「うつ」は「有意義」への反逆

人間の「頭」とは、そもそも「二匹目のドジョウ」を狙うような効率化を目指して発達してきたコンピューター的な部分です。ですから、予定を立てたり計画をしたりするのは、「頭」の得意分野ですし、それを実行に移す意志力も「頭」由来のものです(第1回参照)

 「頭」はコンピューター的に情報処理を行なう部分なので、量的に把握可能なもの、つまり目に見えるものを重視する傾向があります。ですから、自分自身の価値を考える時に、「何をしたのか」「何が達成されたのか」などの生産性を目安に評価しようとします。

  しかし、人間はそもそも何かのための「生産マシーン」として生まれたわけではありません。ですから、「常に有効に稼働しなければならない」という考え方は、生き物としての自然に反したものだと言わざるを得ません。

 「頭」がコンピューター的で自然の原理から遠い部分であるのに対して、人間の生き物として自然な部分は「心」(=「身体」)の側にあります。ですから、「頭」が過度に効率を求めたり「有意義」であることを自らに課したりしますと、「心」(=「身体」)はそれにたまりかねて、ある時点から反逆を始めるのです。

  反逆とは、相手が最も嫌がるようになされるのが常です。「頭」が効率的で「有意義」であることを強要し続けてきたことに対して「心」(=「身体」)が反逆するとすれば、自分を「無為」で「何の生産性もない」状態に置くのが最良の方策になるわけです。

 「うつ」の状態では、意欲が減退し、集中力は低下し、作業能率が著しく阻害されます。また、強い倦怠感とともにすべてに価値が感じられない状態にも陥ります。これぞまさに、常に「有意義」な「生産マシーン」であることを強要されたことに対して「心」(=「身体」)が激しく反逆した姿として捉えることができるでしょう。

過食症も「有意義」への反発である

 現代の「うつ」においては、もともと摂食障害と言える状態にあった方が途中から「うつ」状態も併発するようになるケースが珍しくありません。

 摂食障害には拒食症と過食症がありますが、どちらか一方の状態だけで経過することは珍しく、実際には拒食に始まり、途中から過食が主になるケースが多く見受けられます。