人と距離を置くときは「ほどよいろくでなし」になる
――目指す方向が同じというのは、パートナーとしての関係を育んでいく上で重要なポイントです。逆に、自分がストレスを感じる人との関係を断つコツはありますか。
川原:ニコニコしながら感じよく距離を置くことですね。僕はいつもニコニコしているので、誰とでも仲良くなりそうに見られるのですが、決してそんなことはありません。好きだと思えない人や、自分に害を与える人とは、絶対に付き合いませんから。
そこは麻理恵さんも同じで、「ほどよいろくでなしを目指しましょう」とよく言っています。「ほどよい」のさじ加減は人それぞれですけど、たとえ相手が身近な人であっても、後腐れがないように距離を置くことはすごく大事です。
――「人間関係の片づけ」は慣れないと難しそうですね。ところで、『Be Yourself』にある、「自分らしく生きるための5つのステップ」の中で一番つまずきやすいのはどれでしょうか。
川原:ステップ4の「環境を変える」だと思います。理想の新しい環境を求めて、会社を辞めたり、属しているコミュニティを変えたり、今まで慣れていた環境を飛び出すときはやっぱり勇気がいりますし、手放すものも多くなりますから。前に進むことと手放すことと、両方の勇気が同時に必要になるので、なかなか踏み切れない人が多いです。
でも一度やってみると、次からは怖がらずにできるようになっていきます。新しい環境で、より自分らしくいられる人たちとの出会いに恵まれると、どんどんと楽しいほうに引き寄せられる状態が続いて、おもしろいように人生が変化していきます。
僕の場合、コロナ禍でTwitterを始めて、日本に帰ってきて環境がガラッと変わってから、「好き」「楽しい」と思えることに出会うと、1秒で「イエス」を出せるようになりました。もともと、「これいいかも?」と思ったことは人に言われなくてもどんどん進めてしまうタイプなので、今は毎日が楽しくて、本当に幸せです。
反対に、物事を慎重に考えて石橋を叩いてしまう人は、慣れない環境や知らない人との出会いにオタオタしたり、居心地の悪さを感じたりして立ち止まるかもしれません。すると、「好き」「楽しい」の波が目の前にやってきたとき、うまくウェーブに乗れずに停滞してしまうのです。
そうなったら、改めてその前のステップに戻って、とにかく自分を発信することに力を入れてみてください。自分が理想とする環境にいる人のSNSをフォローしたり、メンションをつけてメッセージを送ったり、自分の存在をアピールするのです。
僕も、自分にメンションを飛ばしてきた人のことは全部にチェックしています。知らない人からダイレクトメッセージでセルフプロデュースの相談が送られてきても、なるべく目を通しています。その中で、「この人だったらこういう方法がハマるかもしれない」と思ったら返事もします。
そこまで細かく発信者をチェックして、なかなか芽が出ない人のことを引き上げることにやりがいを感じる僕みたいな人もいるのです。だから、相手がたとえ有名人でも、どうせ自分なんかダメだと思わずに、チャンスをつかむつもりで発信し続けると、変わりたい自分を後押ししてくれるような追い風が吹くことがあります。