「お金がないからやらない」
それは単に優先順位の問題

――遠藤さんの話を聞いていると、「みんな投資をすればいいのに」と思ってしまうのですが、実際には「やらない人」が多いです。それは、なぜなのでしょうか?

 ひと言でいえば「知らないから」です。

 たとえば、ジャングルの奥地で暮らしている人は、それはそれで幸せを感じていると思うんです。

 幸せならそれでいいのですが、外の世界を知らなければ、当然、外の生き方、外のやり方っていうのが選択肢に入ってこない。知らないから、やらない。

 投資も似たようなところがあって、これまでの自分が生きてきた中で、知らないから、選択肢に入ってこない。知らないから、もっというと、知ろうとしないから、やらない。そういうことだと思います。

――「知らないから、やらない」というのは、本当にその通りだと思うのですが、多くの人が「できることなら、投資でお金が増えたらうれしい」と思いながら、「元手になるお金なんてないしなぁ……」と感じているのではないでしょうか。

「お金がないから、投資ができない」というのは本当によく聞く話です。しかし、「投資=大きなお金が必要」というイメージに縛られすぎなんです。実際、10万円からでも、もっと言えば、5万円や数万円からだって投資はできます。

「お金がない」のではなくて、本当はあるんです。でも、それを投資に使わないで、「消費」とか「浪費」に使っている。実際は、そういうことだと思います。

「お金がない」という人は、シンプルに優先順位が違うだけです。投資より別のことに使うほうを優先している。それだけの話ですよね。

投資家が知っておくべき「たった1つのこと」

――たとえば、遠藤さんが月収20万円で、生活費に15万円かかるとしたら、残りの5万円をどう使いますか?

 間違いなく、全額投資します。5万円どころか、生活費をギリギリまで切り詰めて、さらに5万円足して、10万円を投資に回しますね。

 たぶん、この記事を読んでいる人の多くは月収20万円以上だと思うので、現実的な意味で「投資に回すお金がない」というのはあり得ないです。

 私とは優先順位が違うだけです。

――株式投資に二の足を踏む理由として、「損をするかもしれない」という気持ちも大きいと思います。「株なんてギャンブルみたいなもの」「投資は悪」みたいな先入観も根強いように思います。

 もちろん、株式投資に限らず、投資は損する可能性があります。それを受け入れる必要はあると思います。

 ただ、これは心理学的にも言われているのですが、人は「快楽」と「苦痛」なら、苦痛のほうがより大きく感じるんです。

 たとえば、100万円儲けました。その後、100万円損しました。この状況だと、経済的にはプラスマイナスゼロです。でも実際には、ものすごく損をした気分になりますね。

 もっと言えば、プラマイゼロでなく、損失が80万円で、トータルで20万円のプラスが出たとしても、すごく嫌な気分になるんです。

 心理学的には、人は得をしたときに比べて、損をしたときには2倍の苦痛を感じるらしいです。だから、損に対する過大評価をしているというか、その恐怖が先に立って、投資に踏み切れないという人は多いでしょうね。

 しかし、投資をしないということは、実は機会損失をしているということなんです。つまり、お金を増やす機会を見過ごしていることに、みんな気がついていない。