発達障害のひとつであるADHD(注意欠陥・多動症)の当事者である借金玉さん。早稲田大学卒業後、大手金融機関に勤務するものの仕事がまったくできずに退職。その後、“一発逆転”を狙って起業するも失敗して多額の借金を抱え、1ヵ月家から出られない「うつの底」に沈んだ経験をもっています。
近著『発達障害サバイバルガイド──「あたりまえ」がやれない僕らがどうにか生きていくコツ47』では、借金玉さんが幾多の失敗から手に入れた「食っていくための生活術」が紹介されています。
働かなくても生活することはできますが、生活せずに働くことはできません。仕事第一の人にとって見逃されがちですが、生活術は、仕事をするうえでのとても重要な「土台」なのです。
この連載では、本書から「在宅ワーク」「休息法」「お金の使い方」「食事」「うつとの向き合い方」まで「ラクになった!」「自分の悩みが解像度高く言語化された!」と話題のライフハックと、その背景にある思想に迫ります。
今回は、大盛況に終わったオンラインイベント「発達障害なんでも人生相談」で寄せられた読者の質問と、借金玉さんの回答をお伝えします。

発達障害の僕が発見した「3食ジャンクフードで済ませる人」と「健康食マニア」の意外な共通点Photo: Adobe Stock

<質問>
 私は発達障害持ちで、料理が苦手です。借金玉さんは本で自炊をすすめていましたが、なぜ外食を選択しなかったんでしょうか?

とにかく僕らは「無理をしてはいけない」

<答え>
 外食については、僕はもともと大好きだし、心を癒すジャンクフードもこよなく愛しています。「自炊」というのは――もちろんやった方がいいことではあるけれど――必達タスクでは決してありません。

 僕ら発達障害者が食事について覚えておくべきことは「無理をしてはいけない」ことただ一つでしょう。人間というのは極端から極端に振れる悪癖がありまして、この傾向は発達障害者になると更に顕著です。3食ジャンクフードからカリカリの健康食マニアへ文字通りぶっ飛んでいく人というのはザラにいます。しかし、残念ながら180度の変化というのは一番起こりやすいうえに、本質は何も変わっていないという結果になりがち。修行僧じみた健康食品オタクと3食ジャンクフードを往復していては話になりません。楽しく美味しく、それが食事の絶対条件。これだけはまず、覚えておいてください。

 もし自炊が面倒なら、ちょっといいスーパーで、普段買わないものを買って家で食べてみる。そういうところからでもいいですよね。

 美味しいバケットにハムとチーズ、それにベビーリーフを一つ買ってグリーンサラダ……小洒落たお店で食べると結構なお値段を取られてしまいますが、自宅ならお安く楽しめます。ベビーリーフのドレッシングは塩をパラっと振ってバルサミコ酢をバシャっとかけてかきまぜて、最後にオリーブオイルをたらしてやるのがオススメです。とても美味しいですよ。

★大好評著者インタビュー「だから、この本。」
第1回 発達障害の僕が「毎日怒られていた子ども時代の自分」に絶対伝えたい2つのこと 
第2回 発達障害の僕が発見した「学校に適応できず破滅する子」と「勉強で大逆転する子」の決定的な差
第3回 発達障害の僕が失敗から見つけた「向いている職業」「避けるべき職業」
第4回 発達障害の僕が伝えたい「意識高い系」の人が人生から転落する危うさ