そして第2位に選ばれたのが、『マネジメント』です。現在市販されている『マネジメント:課題、責任、実践』の日本語版は、全3巻、総ページ数1200ページ近い大著ですが、組織とは何か、責任とは何か、使命とは何か、それを達成するために必要な仕事とは何かを、体系的に、しかもこれほど具体的に説いた書は、他に類を見ません。
「単なる知識本やビジネス本としてではない、日常の仕事の本質を捉えた実務本として今後も活用していきたい」といった声も少なくなく、仕事で何か迷いが生じたときに繰り返し読まれているようです。
第3位の『プロフェッショナルの条件』も、具体的なマネジメントを学ぶ書としてだけでなく、人生の生き方を学ぶ書として読まれていることが、アンケート結果から見えてきました。
読者からの反響と言えば、この本ほど刊行時に、多くの方から直接電話や手紙やハガキで、お礼の言葉をいただいた本はありませんでした。なかには、「この本が10年前に出ていたら、もっと早く私の人生は変わっていたのに」と手紙をくださった方もいました。
第4位の『マネジメント[エッセンシャル版]』は、岩崎夏海さんの『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』のおかげで、すっかり有名になりました。第4位に入ったのも、その影響があるでしょう。とはいえ、大著『マネジメント』の一番大事なポイントを一冊にまとめたものですから、マネジメントについて勉強したいけど時間がないという方には、ぜひこちらをお勧めします。
第5位の『現代の経営』は、ドラッカー経営学の原点であり、世界最初のマネジメント書でもあります。原著刊行は1954年。今ではすっかり有名になった「顧客の創造」という言葉が初めて登場するのも本書が最初です。企業の機能はマーケティングとイノベーションの二つに尽きると看破したのも本書ですし、その意味では、本書には企業経営とマネジメントの本質が詰まっています。