「復刻してほしいドラッカー作品は何ですか?」

 今回のアンケートでは、質問をもう一つしています。それは、「復刻してほしいドラッカー作品は何ですか?」というものです。要望の多い上位5作品をあげると、次のようになりました。

復刻してほしいドラッカー作品は何ですか?
結果
1.最後の四重奏
2.日本 成功の代償
3.変貌する経営者の世界
4.未来企業
5.未来への決断

 第1位の『最後の四重奏』は、ドラッカーが73歳にして初めて書いた小説作品です。ドラッカーが小説を書いていたなんて、驚かれた方がいらっしゃるかもしれません。でも、もともと、ドラッカーの若いころの夢は小説家になることだったそうです。この作品の2年後には『善への誘惑』という小説も書いていますが、ドラッカーはこの二作品で満足したのか、その後、小説を発表することはありませんでした。

 第2位の『日本 成功の代償』は、タイトルからしてさまざまなニュアンスの響きがあります。その中には、「日本成功の背後にあるもの」「厳しい時代に身構える日本」など日本に関する章が三つありますが、いずれも、経済的な成功のゆえに引き起こされた諸問題について語っています。

 第3位の『変貌する経営者の世界』は、もともとウォールストリート・ジャーナル紙に掲載されたコラムがもとになっていて、経営者のなすべきこと、利益と成長、社会の高齢化と定年制などについて、短い文章の中に鋭い洞察がみなぎっています。

 第4位の『未来企業』のサブタイトルは、題して「生き残る組織の条件」。この本に魅力を感じる方が多いのは、このサブタイトルにも理由があるのかもしれません。ドラッカーは本書で、政府も企業も、もはや現在の延長線上でこれからの政策を決めてはならないとしています。では、どうしたらよいのか。そのヒントが本書には書かれています。

 第5位の『未来への決断』は、大転換期において企業に携わる人たちがとるべき行動のヒントを与えると同時に、『創造する経営者』以来の事業に関する本という側面ももっています。事業の定義を見直すとき、どこに気をつけるべきか。本書は刊行から17年たった現在でも、役立つことが少なくありません。