独学力#1
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特集『あなたの人生を変える!「独学力」』(全10回)の#1では、高校・大学を独学で過ごし、現在、東京大学大学院で教鞭を執る柳川範之教授が、自身の体験を基に、独学のメリットや面白さ、勉強法など素朴な質問に分かりやすく答えてくれた。

「週刊ダイヤモンド」2017年10月7日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの

Q1 独学のメリットは?

A 独学の良い所は、自分の空いている時間に、自分のペースで勉強できるということです。

 勉強とは本来、個人のペースで進めるもの。人によって理解の速度も違いますし、理解しやすい部分、しにくい部分も違います。しかし学校に行くと、理解の速度に個人差があるのに、画一的なカリキュラムに沿って授業が進められます。それ故に、クラス全体のペースに合わせて勉強せざるを得ません。

 でも独学ならそのペースに縛られることなく、時間をかけたい所に、好きなだけ時間をかけることができる。

 理解の速度に個人差がある点では、僕が教えている東京大学の大学院生も同じです。人によってかなり違いますし、同じ人でも、理解に時間がかかる箇所とすんなり理解できる箇所がある。

 重要なのは、時間がかかる人は頭が良くない人で、時間がかかる所は苦手な所かというと、必ずしもそうではないということ。理解が早ければいいということではないのです。

 多くの人が、さっさと理解できる人は頭が良くて、ちっとも理解できない人は頭が悪いと考えがちです。しかし実はそうではない。むしろ、すいすい理解できる人は、最初は伸びますが、やがてそんなに伸びなくなることもある。ゆっくり理解する人の方が、最初の伸びは遅いけれども、しっかり理解した後はぐっと伸びるものです。

 独学をしていてしばしば起きる間違いは、全部を均等なペースで勉強してしまうこと。分からなくて時間がかかる所はすっ飛ばし、すぐ理解できる所にも均等に時間をかけてしまうと、分からない所は分からないままになり、もっと速く進める所で時間を浪費することになる。

 それぞれの人に合ったペース、それぞれの科目に合ったペースで学ぶことがとても大事です。